雑草は、硬いアスファルトの割れ目から花を咲かせることができる。一体なぜか。静岡大学大学院教授の稲垣栄洋さんは「雑草がどこでも育つほど強いからではない。雑草の生存戦略は頑張らない、ということだ」という――。
※本稿は、稲垣栄洋『雑草は、なぜ何度でも生えてくるのか』(ポプラ新書)の一部を再編集したものです。
「かわいそう」と思われる雑草の正体
アスファルトのすき間に生える雑草があったとします。
こんなわずかなすき間で、誰にも気づかれることなく、小さな花を咲かせている……人間たちは、そんな雑草をかわいそうと哀れんでみたり、もしかすると自らの境遇を重ね合わせて、センチメンタルになってみたりするかもしれません。
しかし、本当にそうでしょうか?
その雑草はアスファルトに咲く能力を持っています。
アスファルトに咲く雑草は、小さく咲く能力を持っています。だから、アスファルトのすき間で小さく咲いているのです。
けっして、頑張っているわけではありません。
持っている能力をありのままに発揮しているだけです。
ライバルがいない、水がある、抜かれない
しかも、アスファルトのすき間は、私たち人間が考えるほど、みじめな場所ではありません。
道ばたのアスファルトのすき間には、大きな雑草は生えないので、小さな雑草の上にも、日光が降り注ぎます。
また、道路に降り注いだ雨水は、路面を流れて、アスファルトのすき間に流れ込んできます。アスファルトのすき間は、小さな雑草にとって、水も十分に得られる場所なのです。しかも、アスファルトの下に注ぎ込んだ水は、簡単には乾かないから、雨が上がった後も十分に水を吸うことができます。
アスファルトのすき間に入り込んでしまえば、もう人間が抜くこともできません。
私たち人間から見ると、かわいそうに見えるアスファルトのすき間は、じつは雑草にとっては居心地の良い場所かもしれないのです。
雑草は頑張っていません。
アスファルトのすき間の雑草は、アスファルトのすき間の雑草として生えているだけなのです。

