高校無償化のインパクトも帳消しに

食料品などの価格上昇、さらには国民保険料まで上がると、一般家庭の生活費負担は一段と増えるはずだ。子育て世代といわれる年代の負担は大きい。

保育士の人件費引き上げにより、託児所や保育園の費用は増えた。保育園の経営が厳しくなりつつあるとの声も聞かれるようになっている。今後、電力料金などの上昇により、そうした状況が増えることも予想される。それは、最終的に家庭の育児負担の増加に繋がることも想定される。

子供の受験準備のコストも増加傾向だ。地域ごとに差はあるものの、早期教育への意識の高まりなどを背景に塾料金は上昇している。中学受験対策に、小学校1年生を対象にした講座提供する学習塾もある。

本年度から、高等学校等就学支援金の所得制限は撤廃(いわゆる高校の授業料無償化)された。しかし、その負担減よりも、他の教育関連支出は増えているとの指摘もある。子育てによるキャリアへの影響、生活負担の高まりから、子供を持つことを諦める若年層もいるとみる専門家もある。

ドルマークが描かれた麻袋と家族の人形が秤で釣り合っている
写真=iStock.com/William_Potter
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スタグフレーションという最悪のシナリオ

また、ここへ来てのイラン戦争は、何といっても余計なリスク要因になっている。国内ではガソリン価格が一時高騰した。石油備蓄の放出の効果は一時的だ。イラン戦争が解決に向かう兆しが見えない限り、国内エネルギー価格の上昇は避けられないだろう。

イラン戦争は、中東地域の食料不安やテロの増加につながる恐れもある。中東情勢がさらに混迷して世界の物流が混乱し、肥料や種子価格が上昇することも考えられる。それは、世界的に食料不足懸念を高めることになるはずだ。

3月、物価上昇警戒感から、国内債券市場でインフレ懸念が高まった。その結果、国内の長期金利の上昇が顕在化した。今後、インフレ懸念が一段と高まると、物価の安定を責務とする日銀は利上げを急がざるを得なくなるだろう。

それにより、変動型の住宅ローンや企業の借り入れ金利は、さらに上昇する。金利上昇は家計や企業の債務返済負担の上昇につながり、個人消費と設備投資などを圧迫する恐れは高い。

最悪の場合、景気減速と物価上昇の同時進行する、いわゆるスタグフレーションに陥ることも考えられる。そうなると、私たちの生活負担は一段と増大し、個人消費の下振れリスクは高まるだろう。できるだけ、必要性の低い支出を省き、家計を守る取り組みが必要になるかもしれない。その覚悟はしておいたほうがよさそうだ。

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