移動費、インフラ維持費は節約しようがない

今春以降、値上げが明らかになったモノ、サービスの数は増えた。食品の値上げが再度鮮明になった。4月、主要食品企業全体で、約2800品目を値上げした。価格引き上げ率は平均で14%だ。半年ぶりに、値上げ対象品目数は2000を上回った。値上げラッシュ再燃との見方もある。原材料高、人件費、物流費、包装資材費の高騰など要因は多い。

鉄道、バス、タクシー運賃も上昇した。燃料や人件費に加え、キャッシュレス決済などデジタル化の対応も値上げ要因になっている。特に、1987年の民営化後、JR東日本がはじめて7.1%の運賃改定を実施した影響は大きい。

原宿駅付近を走行中の山手線
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3月14日、同社の運賃改定に合わせて、国内の主要な鉄道やバス運営会社は一斉に料金を引き上げた。地方では人口が減少する中で、鉄道やバスの路線を維持するため、運賃を引き上げざるを得ない状況に追い込まれるケースもある。

上下水道の料金も上昇した。上水道では、栃木県足利市が30年ぶりに料金を49%引き上げた。それによって、一般的な世帯では月の水道料金が1010円増になる見込だ。浄水コストの増加に加え、インフラ老朽化によるメンテナンスや設備更新の費用もかさんでいる。それを賄うため、料金引き上げを計画する自治体は増えている。

「究極の固定費」国民年金保険料もアップ

同様のことは下水道にも当てはまる。上下水道料金の上昇は、飲食、宿泊をはじめわが国の産業界全体でのコスト増になる。人手不足で人件費の上昇、コメやタマゴなど食材の値上がり、水道料金の負担増が上乗せされるインパクトはかなり大きい。

さらに、4月から国民年金保険料も上昇した。昨年度から410円増の月額1万7920円が新たな保険料額だ。保険料引き上げの主な理由は、物価変動などに合わせた保険料の調整と、将来の支給額を維持するための必要額確保だ。少子高齢化が深刻な中、医療、介護などの保険料負担も増えるだろう。

消費者だけではなく企業間取引にも、値上げ重視の価値観は浸透し始めた。ここ1年ほどの間、自動車などの工業製品の生産に欠かせない、金型製造企業の8割が値上げを実施したようだ。これまで値上げが難しかった分野でも、企業の生き残りをかけて値上げが進み始めた。