「距離を置く」段階から「突き放す」に

各種世論調査では、アメリカの有権者のトランプ大統領に対する支持率はガタ落ちの状況である。特にイスラエルとともにイランを空爆したことは、MAGA層と呼ばれる大統領の支持者層の離反につながったとも指摘される。またアメリカ各地では“NO KINGS”をスローガンに掲げた大規模な反政権デモも行われるようになっている。

イランとの戦争は2週間の停戦に入ったが、これで終幕かは不明だ。よほどのことがない限りトランプ大統領が所属する共和党は中間選挙で敗北する。支持率の低下に焦りを隠せないトランプ大統領は責任転嫁に勤しんでおり、忠臣の一人とされていたパム・ボンディ司法長官を4月2日付で、陸軍制服組トップのランディ・ジョージ参謀総長を翌日付で解任した。

またいわゆる“トランプ関税”の仕掛人の一人であるハワード・ラトニック商務長官も解任するという噂がある。トランプ大統領とJ・D・バンス副大統領との関係の悪化も伝えられるところだ。発言内容が二転三転することもあり、大統領自身の健康不安説も燻り始めた。もはやトランプ政権そのものが瓦解しつつある状況かもしれない。

トランプ政権の路線は長くは持たないし、2028年の大統領選でトランプ大統領の路線を継承する候補が勝利する可能性も低くなった。そう踏んでいるからこそ、ヨーロッパの指導者たちはトランプ大統領から確実に距離を置くようになったのだろう。それはもう距離を置くレベルを通り越しており、突き放すレベルなのかもしれない。

付かず離れずの距離をどうとるか

ヨーロッパ主要国からの協力を得られないことに業を煮やしたトランプ大統領は、NATOからの離脱に言及し、ヨーロッパに圧力をかけようとしている。とはいえ、大統領の権限だけでNATOから離脱することは不可能だ。脱退には上院の賛成が必要になるが、上院共和党の議員の中にはNATO支持者は多い。まさに張子の虎といった状態だ。

日本もヨーロッパと同様、アメリカと経済的にも政治的にも深い関係にあるため、友好関係の意地は不可欠だ。とはいえ、アメリカとの友好関係とトランプ大統領との友好関係は必ずしもオーバーラップしない。それどころか、両者のズレは着実に拡大している。その現実を踏まえたうえで、イタリアのメローニ首相らは現実的な判断を下している。

同様の判断が、日本も迫られているのだろう。いずれにせよ高市首相には、メローニ首相と同様に、エネルギーの確保に向けた積極的かつ主体的なトップセールスを期待したいところである。

令和8年1月16日、高市総理は、総理大臣官邸でイタリア共和国のジョルジャ・メローニ首相と首脳会談等を行いました
高市首相と歩くメローニ首相。1月16日、首相官邸で首脳会談を行った(写真=内閣広報室/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

(寄稿はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です)

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