トランプ氏との親密アピールが逆効果に
ヨーロッパでは先日まで、反欧州連合(EU)の立場を取る政治家が、愛国主義の観点からアメリカのドナルド・トランプ大統領を担ぐ傾向が強かった。同大統領がアメリカ第一主義を掲げたためだが、そうした傾向は特にロシアとの国境が近い中央ヨーロッパや東ヨーロッパの国で顕著だった。しかし、その灯はもはや消える寸前といえよう。
その好例が中央ヨーロッパの小国ハンガリーだ。同国は4月12日に総選挙を控えているが、長年にわたり事実上の“独裁”を続けてきたビクトル・オルバン首相が窮地に立たされている。オルバン首相は事あるごとにトランプ大統領との親密な関係をアピール。選挙戦の終盤にはJ・D・バンス副大統領も駆けつける異例の事態となっている。
しかし、そうしたオルバン首相のアピールは、ハンガリーの有権者にもはや響かないようだ。実際、オルバン首相がトランプ大統領にすり寄ったところで、ハンガリーに具体的なベネフィットは何ももたらされなかった。景気の低迷や汚職の蔓延を前に有権者はオルバン首相に対する不信感を募らせており、政権交代が視野に入る情勢である。
各国で強まる嫌悪感
このように、先日まで、ヨーロッパの一部の政治家は、アメリカのドナルド・トランプ大統領への共感や関係の親密さをアピールすることで、有権者の支持を獲得しようとしていた。しかし、今やそれは逆回転を起こしており、大統領と一線を画することが有権者に支持される。トランプ大統領への嫌悪感がヨーロッパ中で急拡大したためだ。
イギリスの調査会社ユーガブ(YouGov)は、ヨーロッパの主要国の国民を対象に、トランプ大統領に対する印象に関する調査を定期的に行っている(図表1)。
もともとヨーロッパの主要国の国民はトランプ大統領に対して悪い印象を抱いていたが、大統領が年明け以降に傍若無人さを急速に強めたことで、その傾向は一段と強まっている。

