強い国々に囲まれた国の宿命
ポーランドは“諜報大国”である。
ゴディーリス博士の説明を聞きながら、私は改めてポーランドという国の特殊性を思った。
ポーランドは歴史的に、
*東にソ連(ロシア)
*西にドイツ
*南にオーストリア
という強大国に囲まれた“地政学的サンドイッチ国家”である。
だからこそ、生き残るために諜報活動を極限まで発達させざるを得なかった。
第二次世界大戦前、ポーランドはソ連とドイツに諜報員を潜入させ、エニグマ暗号解読の突破口を開くという歴史的快挙を成し遂げた。
これは連合国の勝利に決定的な貢献をした。
先述したが、冷戦崩壊後、東欧諸国は旧政権の諜報資料を一定範囲で公開した。これは西側陣営にとって、まさに「冷戦勝利の戦利品」であった。
“任務”を課される中国人留学生たち
私はゴディーリス博士の話を聞き、「CIAがこの機会を逃すはずがない」と思った。
実際、セミナー司会のクレーマー教授(インテリジェンス研究の権威)は、私の質問に対し、「CIAはソ連や東欧から膨大な資料を持ち出した。その一部はすでに公開されている」と明言した。
私は思った。「これが世界のインテリジェンスの現実だ」
話をハーバード時代に戻す。
セミナー終了後、私はクレーマー教授に質問を投げかけた。
「旧ソ連や東欧諸国の情報活動を研究されてきた立場から、今日の中国のインテリジェンスについて見えてきたことはありますか」
教授は即座にこう答えた。
「たとえばブルガリアの情報当局の記録では、同国に留学していた中国人留学生のほぼ全員が諜報活動に関与していたことが明らかになっています。米国に来ている中国人留学生の一部も、当然ながら同様の“任務”を帯びていると考えるべきでしょう」
この言葉を聞いたとき、私はハーバードに留学していた日本人学生から聞いた“ある観察”を思い出した。それはクレーマー教授の指摘を裏付けるような内容だった。「中国人留学生スパイ説」を裏付けるうえで極めて示唆に富む内容なので、以下、紹介したい。

