日本人留学生とは明らかに違う連帯感

〈中国からの留学生ですが、セミナー・リサーチにおいても中国系米国人との連携や活動は日系米国人と日本人の希薄な関係に比べ圧倒的に強いと思います。また、学内における文化交流の機会を有効に活用し、親中イメージづくりに最大限貢献させており、ジョセフ・ナイ教授の「ソフトパワーの理論」を実際的に活用している観があります。

たとえば、インターナショナルイベントやカルチャーイベントにおいては、プロ顔負けの舞踏や器楽演奏を披露し、各国の学生を非常に驚かせました。私達日本人は勉強するだけで精一杯なのに、いつ集団的かつ統一的に練習しているのだろうと思いました。

これら中国人留学生の活動は、自発的というよりも誰かの指示で一元的、組織的に動いているのではないかと思いました。確証はありませんが、クラブ・ネットワークなどを活用し、情報の共有や目標の共通認識を図っているのではないかというような感想を持ちました〉

ちなみに、ジョセフ・ナイ教授が提唱した「ソフトパワー」とは、軍事力や経済制裁といった強制力(=ハードパワー)ではなく、文化や価値観、外交姿勢などによって、他国を“魅了し、引きつけ、進んで協力させる力”を指す概念である。

最終授業で写真を撮り始めた中国人女性

ボストンに到着したのち、私は“60の手習い”で英語講座に通いはじめた。

公開講座の受講者は692名。クラスは多国籍で、私のクラスには中国人女性がひとりいた。20代後半、オードリー・ヘプバーンを思わせる美貌。名乗ったのは中国名ではなく「ケイ・ティ」。授業中は控えめで、休み時間も誰とも話さない。私が声をかけても、愛想のない返事が返ってくるだけだった。

ところが、半年後の最終授業で彼女は突然“変身”した。「皆さんとの思い出を残したいので、写真を撮らせてください」と、日本製カメラを手に、クラス中を笑顔で撮影して回った。

カメラを持つ女性の手元
写真=iStock.com/Liudmila Chernetska
※写真はイメージです

そして、明らかに私を中心にシャッターを切っていた。それまで会話らしい会話もなかったのに、急に「タカシ、タカシ」と親しげに呼ぶ。私はインテリジェンスの世界にいた経験から、この行動に違和感を覚えた。