人口流入が多いが低出生率の「ブラックホール区」
▼東部・北部地区などかつての高出生率エリアの出生率低下
江戸川区はかつて23区の中でもっとも出生率が高く、ほぼ全国水準を保っていたが、2020年代に入ると低下が目立ちはじめ、今ではいわゆる都心3区(千代田区、中央区、港区)よりも低い水準となっている。
江戸川区とともに下町3区と呼ばれる葛飾区、足立区も江戸川区と同じ傾向をたどっているが、北部地域の板橋区の低下傾向はより目を引く動きとなっている。板橋区の出生率はかつて23区平均を安定的に上回っていたのであるが、今や大きく低下傾向をたどり、2022年以降には豊島区と並んで23区の最低レベルに落ち込むまでに変貌しているのである。
▼かつても今も低出生率のエリア
池袋を抱える豊島区は、世田谷、渋谷、中野、目黒などの区とならんで2000年に23区の中で最低レベルの出生率を記録していたが、2020年にはその他の区が出生率を上昇させる中でなお低位にとどまっているため23区内で最低の区と見なされるようになった。
豊島区は、2014年、民間研究機関「日本創成会議」の報告で若年女性の減少予測から東京23区で唯一「消滅可能性都市」に位置づけられ、かなり話題となった。これを受け、区では「消滅可能性都市緊急対策本部」を設置し、女性視点での街づくりを推進したためもあったか、2024年の民間組織「人口戦略会議」による報告では「消滅可能性都市」から脱却した。ただし、豊島区は、あらたに設けられた、人口流入が多いものの出生率が低い「ブラックホール型自治体」に新宿区や文京区と並んで全国25自治体の1つとして該当するとされた(産経新聞2024.4.24)。
▼出生率が大きく上昇した都心エリア、湾岸エリア
図表3のなかで、2000年当時、千代田区、港区、文京区は豊島区などと並んで23区平均を下回る低出生率エリアをなしていた。
ところが、港区、千代田区、文京区の順に出生率の上昇傾向への転換が起こり、港区、千代田区では、驚くべきことに、全国レベルまで出生率が上昇するに至っている。中央区、江東区も港区と同様の動きである。文京区も23区平均を大きく上回り、今や江戸川区を追い抜く勢いである。
千代田区、中央区、港区は都心3区と呼ばれるが、こうした都心部と重なる江東区などの湾岸部、および都心部に隣接する文京区は合わせて23区のうちの最高レベルの高出生率エリアに変貌している。
こうした変貌の要因としては、以下の3つが考えられる。
