変化の乏しい京都市の状況とは大きな違い

こうした東京23区の大きな出生率の変化は、他の大都市と比較するとはっきりしている。

図表2には参考に京都市の各区の出生率の状況とその変化を図表1と同じ基準で作成した。

【図表】京都市各区の合計特殊出生率:20年間ほんど変化なしの地域構造
筆者作成

京都市の2000年の状況を見ると、もともとの伝統的な京都市街、いわゆる洛中を構成する上京区、中京区、下京区とそれと鴨川をはさんで隣接する花街や神社仏閣の多い東山区で出生率が低く、それより南の住宅地を多く抱える山科区、伏見区をはじめとする南部地域で高い出生率の地域が広がっていた。そして、北部地域は両者の中間的な性格だった。

ところが、2020年になっても、この構造はほとんど変化していない点が目立っている。洛中地域の低出生率を残したまま北区や左京区と言った北部地域は出生率がやや上昇しており、むしろ2000年当時の地域構造が一層明確になったとも言えよう。

こうした旧態依然の京都の状況と比較すると東京の状況がいかに変化に富んだものかが実感されるのである。

東京の脱「人口のブラックホール」化

東京における出生率の地域構造の変化の要因をさらに探るため、代表的な区における出生率の変化を時系列的に1993年から直近の2024年にかけての毎年の動きを追ってみよう(図表3参照)。データとしては、毎年の区ごとの合計特殊出生率を東京都が独自に算出し公表しているのでこれを使った。

各区の動きを見る前に、まず、「全国」と「東京23区」の動き(2本の点線の動き)に着目してみよう。

図表3に見るように、全国的な出生率は、2005年を境に上向いていたものが2015年を境に低下傾向に転じている。一方、東京23区は水準こそ低いものの同様の起伏で推移している。

【図表】港区など都心区で出生率が上昇し、東京と全国の出生率格差は縮小傾向
(資料)東京都人口動態統計(2026.4.2現在)

ただし全国では最新の2024年の1.15はかつてのボトム年の1.26を大きく下回り、過去最低を更新しているが、東京23区は0.96とボトムであった2005年の0.95をわずかながらであるが上回っている。

また、「全国」と「東京23区」の対比では、出生率格差(2つの点線の差)が、0.4前後から0.2前後へ半減。つまり大きく縮小してきている。かつて東京は、流入させた人口を食いつぶしていくという意味で「人口のブラックホール」と見なされていたが、そんなこともなくなってきているのである。

各区の出生率の推移をそれぞれ見てみると、かつて23区平均より高かった区の低下が目立つ反面、かつて低かった区の中で出生率が大いに伸びた区が複数ある点が目立っている。