巨大金融SBIを襲う後継者問題の影
その後、紆余曲折を経て、2005年7月に持株会社体制に移行し、SBIホールディングスを設立。2006年8月には、ソフトバンクから完全に独立しました。
現在、証券関連・銀行関連・保険関連・不動産関連・フィンテックなどの金融サービス事業、資産運用事業、投資事業、暗号資産事業、次世代事業という5つの事業領域ごとに、それぞれ多数の企業を傘下に収めて、一大金融グループを形成しています。
まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのSBIホールディングスですが、果たして将来性はどうなのかと考えた時、いささか怖い面があるのも事実です。それは、まだご存命中なのに、このようなことを申し上げるのは失礼かもしれませんが、現在、同ホールディングスの代表取締役会長兼社長を務めている北尾吉孝氏が引退した時、このグループはどうなってしまうのだろうということです。
SBIホールディングスは第4のメガバンク構想や新生銀行の買収、3000億円ものSBI新生銀行の公的資金返済など資金はいくらあっても足りない状態でした。
そこで2022年6月に、三井住友フィナンシャルグループはSBIホールディングスに出資し、包括的資本業務提携を結ぶと発表しました。
勝ちを確信したはずの買収劇の「誤差」
つまり、資金繰りに困ったと思われるSBIホールディングスが、三井住友フィナンシャルグループから出資を仰いだことになりますが、果たしてこの話に乗るべきか否かで、三井住友フィナンシャルグループでは議論が紛糾したそうです。
「もしもこの話に乗ったら、三井住友フィナンシャルグループが北尾氏に食われてしまう」というのが本音だったのでしょう。最終的に包括的資本業務提携を決断したのは、太田純前三井住友フィナンシャルグループ代表執行役社長でした。
「SBIホールディングスには北尾氏に匹敵するだけの人材がいない。だから、このディールは私たちの勝ちだ」ということで出資を決断したと言われています。当時、太田前社長は64歳、対して北尾吉孝会長兼社長が71歳でしたから、年齢的に考えれば、先に第一線を退くのは北尾氏です。そういう読みも、おそらく出資を決断した背景にはあったのだろうと推察します。しかし、そう読んで判断を下した太田前社長が、病によって先に鬼籍に入ることになろうとは、この時点では全く想定されていませんでした。

