証券会社のエースが続々と辞めていくワケ

こうした経緯を鑑みると、SBIホールディングスの後継者が北尾氏と同等の経営手腕を発揮できるのかという懸念は、根強く残ります。野村證券で培われた北尾氏の圧倒的な手腕と実績が、現在の一大グループ形成の原動力であることは論を俟ちません。

北尾氏の跡を継ぐ人物に、同氏を凌ぐほどのプロフェッショナルとしての知見が備わっているかどうか。この一点こそが、SBIホールディングスの持続的な成長を左右する、最大の鍵と言えます。

インターネット証券会社はもともと個人営業の部隊を持っていないので、ここで注目したいのは店舗型証券会社の個人営業です。証券会社の個人営業は、よきにつけ悪しきにつけ、花形部署ではあります。営業担当者一人一人の成績が数字という形で明確に表れますし、証券会社で出世しようと思ったら、営業で成績を上げるのが一番の近道です。

ところが、店舗型証券会社の個人営業で優秀な成績を上げていた人材がここ数年、証券会社を次々に辞めてしまうという現象が見られます。そして、辞めてどうするのかというと、独立してIFAと称される金融商品仲介業者になるケースが増えているのです。

木製ブロックで「IFA」の文字
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店舗のないネット証券が儲かる仕組み

IFAとはIndependent Financial Advisor の略称で、直訳すると「独立系ファイナンシャルアドバイザー」になるのですが、日本では「金融商品仲介業者」という位置づけです。その業務を行うにあたっては、内閣総理大臣への申請と登録が必要です。

金融商品仲介業者とは、証券会社の社員として株式や債券、投資信託などを営業するのではなく、証券会社と資本関係を持たない外部の代理店として、株式や債券、投資信託を販売し、そこから手数料を得る仕事です。

資本関係を持たないとはいえ、株式や債券、投資信託などの金融商品の販売に際しては、証券会社との間で業務委託契約を結ぶ必要があります。そして、ここで収益を稼いでいるのが、インターネット証券会社です。SBI証券、楽天証券、マネックス証券といったインターネット証券会社には、いわゆる個人営業部隊が存在しません。この点だけを見ると、インターネット証券会社は自ら積極的に営業をかけず、受け身の姿勢でも商売が成り立っているように見えるかもしれません。