「核融合発電の共通インフラ」を目指す

具体的には、核融合反応で生じる中性子を吸収し、熱を取り出す「ブランケットシステム」、燃料であるトリチウムを安全に回収・循環させる「トリチウム燃料循環システム」、さらに高温の熱を効率よく発電につなげるための冷却系・熱交換器・発電ユニットなどです。

ブランケットには、低放射化フェライト鋼など、日本が得意としてきた材料技術が活かされており、耐久性や安全性の面で国際的にも高い評価を受けています。

重要なのは、こうした周辺技術が「炉の形式を選ばない」という点です。トカマク型であれ、将来別の方式が主流になったとしても、熱回収や燃料循環といった機能は必ず必要になります。

京都フュージョニアリングは、どの企業が炉を完成させても、その中に自社技術が組み込まれる可能性を持つ、「核融合発電の共通インフラ」を目指しています。

この戦略は、日本が得意とする「ものづくり」と極めて相性が良いと言えます。巨大なプラントを自前で建設するのではなく、要求精度が高く、代替の効かない部品やシステムを供給する――これは、将来世界中に核融合炉が建設された際、日本が部品供給国として重要なポジションを占める可能性を示しています。

京都フュージョニアリングはすでに試験設備や実証プラントを保有し、ブランケットやトリチウム回収装置のプロトタイプ開発を進めています。

フュージョンエネルギー産業化に大きく貢献

さらに、イギリスのSTEP計画(球状トカマク型核融合炉の建設プロジェクト)をはじめ、欧米の研究機関やスタートアップとも連携し、2021年にはイギリスに、2022年にはアメリカに、2024年にはドイツに子会社を開設しました。国際共同開発の中核を担おうとする姿勢は明確です。

将来、日本製の核融合周辺システムが世界標準となり、各国の核融合炉に組み込まれる――その可能性は、決して夢物語ではないと考えています。

原子炉のイメージ
写真=iStock.com/koto_feja
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ところが、2025年11月27日、京都フュージョニアリングのホームページに、以下の趣旨の発表がなされました。

「国内初の民間主導フュージョン発電実証プロジェクト「FAST」が、開始から1年で概念設計(CDR)を完了し、報告書を公開。Starlight Engine と京都フュージョニアリングが主導し、産学連携で進められている。

FASTはトカマク方式を採用し、2030年代の核融合発電実現を目指す。CDRではプラントの性能要件や構成、安全設計やコスト評価を明示。今後は建設に向けて工学設計フェーズへ移行し、2028年にEDR(工学設計報告書)完成を予定。

高温超電導やトリチウムサイクルなど商用炉技術も統合実証し、フュージョンエネルギー産業化に大きく貢献することが期待されている」

計画通り進めば、すばらしいことです。