「教育に隔たりは要らない」という信念

佐々木市長就任3年目の2019年には、保育料・幼稚園の授業料を無料にし、子育て応援「誕生祝い金」を新設した。

第1子、第2子は妊娠時に5万円、出産時に5万円の合計10万円、第3子は妊娠時と出産時に5万円、1歳時に20万円、2歳時に20万円の合計50万円、第4子は3歳まで合計100万円、第5子以降は6歳まで合計200万円が支給されるという制度だ。

2020年には妊産婦の医療費を無料に、2022年には高田高校に無料学習塾を設置、2023年には高田高校の授業料を完全無償化し、市外の高校に行く場合も同額を支援。2024年には小学校、中学校、高校の入学時に、「子育て応援入学祝い金」として5万円を支給、高校生までの入院時の食事代を無料にし、2025年には冒頭で紹介した高田高校への無料の昼食提供を開始した。これにより、0歳児から高校生までの保育料・授業料・給食費・医療費の「完全無料化」を実現したのだ。

さらに今年4月からは保護者の就労しやすい環境と負担軽減のため、「放課後児童クラブ」「放課後等デイサービス」の無料化を実践。そればかりではない。高田高校を卒業し、大学等へ進学した子ども一人につき、在学期間中「1年あたり5万円」を保護者に支給することも決めた。

ここには佐々木市長の「教育に、隔たりがあってはいけない」という強い信念がある。日本全国を眺めれば、今や教育は「隔たり」だらけではないか。経済格差がストレートに、学力格差につながっているのは今さら指摘するまでもない。

「教育に、差別や隔たりがあってはいけない」と語る佐々木市長
撮影=プレジデントオンライン編集部
「教育に、差別や隔たりがあってはいけない」と語る佐々木市長

全国トップレベル級“プロ”の子育て支援

アリバイ的に「やった感」を出す自治体が多い中、豊後高田市がここまで実効性の高い政策を次々実行していくことに、正真正銘の「本気」を見る。これこそ、全国トップレベルの子育て支援であり、この政策があればこそ、子育て世代が豊後高田に移住してくるのだ。市内の田染たしぶ小学校では今や、クラスの半分の児童が移住者世帯の子どもとなっている。

これだけの手厚い支援があれば、子どもを産むことを躊躇ためらう要因はおのずと減り、この環境で子どもを育てたいと、子育て世代がわざわざ移住してくるのも頷ける。

具体的な支援策もまさに“プロ”の策だ。

豊後高田市は2005年に豊後高田市と真玉またま町、香々地かかぢ町が合併してできた自治体だ。佐々木市長は給食費や医療費無料を打ち出した子育て支援策1年目に、市内の2つの拠点・真玉と香々地に子育て支援拠点「花っこルーム」を新設した。今や高田地区と合わせて市内に3カ所、子育て支援の拠点として、親と子どもの居場所となる施設を持つ。

これが、「夫婦が共稼ぎである以上、誰が子どもの世話をするのか」という課題への市としての一つの答えであり、経済支援との両輪として欠かせないものとなっている。