「自信なし」営業マンへの3つの処方箋

では、このような「自信なし」営業マンに商品への自信を持たせるには、どうしたらいいのだろうか。私たちはまず、うまくいっている事例から学ぶことにした。アンケートに「自信あり」と答えた営業マンを調査することからアプローチを開始したのである。

彼らに「自信を持てるポイント」を挙げてもらったところ、以下の3つの型に分類できた。

1つ目は「経験タイプ」。経験を積んでいくうちに、なんとなく自信がついてきたという人だ。1つのプロジェクトに最後まで取り組んだことをきっかけとして、自信が芽生えたというケースが多かった。

2つ目は「理論タイプ」。マーケティングデータや開発のバックグラウンドといったロジックに基づき納得するタイプである。たとえば「最初にこういうお客さんの声があり、それを詳しく調査していったら、こういう仮説が立てられ、それに基づいて商品を開発した。だから売れる」。彼らは、このようなロジックやストーリーを自信の裏付けにしているのだ。

3つ目が「評価タイプ」。顧客や上司からの評価を受けて自信をつけていくタイプである。たとえば、顧客から「おたくの商品、いいねぇ」と言われることで自信がつく。各タイプの人数を数えると、ほぼ同数ずつとなった。

おもしろいことに、評価タイプの人にいくら理論を学習させたり経験を積ませたとしても、顧客や上司が「いい」と評価してくれなければ自信は身につかない。他のタイプについても同様の傾向が見られた。

このような事実が判明したことで、「自信なし」営業マンに自信を持たせるためのポイントも浮かび上がってきた。つまり、3タイプの経路を人工的にすべて体験させることで、営業マンを変身させることができるのではないかと考えたのだ。

なぜ3タイプをすべて経験させなければいけないのか。それは、会社のなかには経験タイプと理論タイプ、評価タイプの営業マンがほぼ同じ比率で存在すると考えられるからだ。

ということは、ある会社が「うちは『経験タイプ』で自信をつけさせるぞ」と、OJTを重視する教育プログラムを組んだとしても、それでは育たない人(理論タイプと評価タイプ)が計算上は3分の2もいることになる。だが、3タイプすべてに対応する営業マン教育を行っている会社はなかなかない。

そこで当社では、すべての営業マンに自信をつけさせる研修を進めている。実際には、社内教育で足りない部分を補完する形となる。たとえば経験タイプの教育だけを行っている会社には、商品について知識武装させる理論タイプの研修と私たち第三者が顧客から評価を聞きだし、営業マンに伝える評価タイプの研修を提供するのだ。