丸亀派と資さん派は共存可能
うどんといえば、コシの強い麺と柔い麺とで好みが分かれるようで、九州方面の人たちはコシの強い麺を好まない。自分の場合、家人も九州人で、知人も九州出身者が多くいるのだが、口を揃えて「丸亀はおいしいとは思うが麺がいかん」と言っている。これは九州に限った話ではなく、全国的にも好みが分かれるようで、柔い麺のほうが好きな人は意外と多いようなのだ。その点で、丸亀派と資さん派は共存可能なのであろう。
メニューに関しても丸亀は、基本はうどん×アレンジ+トッピングのイメージであるが、資さんは、うどん、そば、丼もの、おにぎり、甘味、おでん、つまみとアルコール類、と幅広く、リーズナブルな和風ファミレス&チョイ飲み屋といったニーズを取り込む。飲みもあるため、多くの店が深夜まで営業しており、既存店では24時間営業も多い。
考えてみれば、昔の個人店のそば、うどん屋は資さんのような品揃えで夜は飲み屋的な存在だったのだが、時代を経てどんどん少なくなり、特に地方、郊外では繁華街の衰退とともになくなってしまった。でも、国民食でもある、そば・うどん店の需要は決して廃れたわけではなく、大都市で残ったそば・うどん店は結構流行っているという実感もあるだろう。
今「すかいらーく」という店名はない
図表1は、そば・うどん店の事業所数と一人あたりのそば・うどん支出の統計だが、店は減っても需要が減ったわけではないことを示している。九州のロードサイドで生き残りモデルを生み出した資さんにとって、全国に新たなスペースが生まれていた、ということになる。
ただし、そば・うどん店の減少が生み出した成長余地に気付いたのは、資さんの経営をオーナーから事業承継で引き継いだファンド(ユニゾン・キャピタルなど)や、グループに迎え入れた外食大手すかいらーく、だっただろう。ファンドがこのローカルうどんチェーンに投資したのはこうした構図が見えていたからだ。
取得後、九州の外へと店舗網を拡大し、当該マーケットが全国に存在していることを検証した上で、最も相性のいい、すかいらーくに持ち込んだといえる。なぜ、すかいらーくが最適なのかといえば、すかいらーくという会社に「すかいらーく」という店がないことを思い出してもらえば、わかるかもしれない。
国内外食産業の最老舗として知られる、すかいらーくは、日本にクルマが普及し始めていた1970年に日本初の郊外型ファミリーレストラン「すかいらーく(国立店)」を東京都府中市に出したことから始まっている。その後はすかいらーくを全国展開しつつ、別業態であるジョナサンやバーミヤンなども開発しつつ、外食大手チェーンとしての地位を確立した。

