大統領選挙後のミャンマーの投資環境

では、このトゥラシュエマンとアウンサンスーチー女史の関係は良好なのか? この点について現地の各方面からヒヤリングすると、意外にも2人の関係はとても良好で既に信頼関係が出来上がっているという声が多い。特にトゥラシュエマンが、今こそ政党間の理念の小異を捨て、国家国民の利益のために、与野党が結束して政治を行わなければならないと柔軟な姿勢を見せていることを、アウンサンスーチー女史は評価しているのかもしれない。民主化の流れを止めずに、外国投資を促進し国民経済を発展させ、少数民族問題や宗教紛争を解決し国民和解を進めるという点で、2人は共通の問題意識を持っている。

トゥラシュエマン66歳、アウンサンスーチー女史68歳、共に高齢で大統領に就任するには最後のチャンスかもしれないが、国民利益に繋がらない政争に労力を費やすのではなく、トゥラシュエマンが言うように、与野党が結集して、国民利益のために連立政権を樹立し、新ミャンマーの改革をさらに進めて欲しいと、誰よりも願っているのはミャンマー国民である。この連立政権路線が現実的な規定路線であるとするならば、ミャンマーの政治は2015年の転換点において混乱することなく、逆にしっかりと安定する可能性がある。

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