台湾有事で露呈する米軍の限界

今回の海兵隊の中東派遣は、米軍の軍事力の配分の難しさを浮き彫りにした。

米国はウクライナ戦争、台湾有事、中東情勢という複数の課題を同時に抱えている。台湾有事を想定した作戦では、沖縄の海兵隊が重要な役割を担うとされてきた。しかし、その部隊が中東に派遣されたことで、米軍が東アジアに常時十分な戦力を維持することが難しい現実が示された。

米国は複数の戦域に戦力を分散させなければならない状況にある。これにより、日本は自らの防衛力をより強化せざるをえない立場に置かれたわけだ。

揺らぎ始めた日本の安全保障の前提

台湾海峡、南西諸島、朝鮮半島――東アジアの主要な緊張地帯の中央に位置する沖縄から、その戦力が一時的に離れた意味は小さくない。戦後80年近く続いてきた「米軍依存」という日本の安全保障の前提は、今まさに転換点に差しかかっている。

米軍の戦力が複数の戦域に分散される現実の中で、日本はもはや「守られる側」にとどまることはできない。抑止と初動対応を自ら担う体制を構築しなければ、地域の不安定化はそのまま日本のリスクとなって跳ね返る。

安全保障と経済が同時に揺らぐ時代において、日本に今必要なのは単なる防衛力の強化ではない。国家としての意思と能力の双方を備えた、主体的な安全保障戦略への転換だといえるだろう。

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