利益追求か患者救済か、問われる真価

最近、インターネット上で目を覆いたくなるような広告を見た。患者に奉仕すべき医師に、それから逃避して保身を図り、より大きな報酬を得るよう転職を勧める広告である。情けないことこの上ない。多くの善良な医師の顔に泥を塗るような下劣さで、見るに堪えなかった。

坂本二哉『戦慄の東大病院』(飛鳥新社)
坂本二哉『戦慄の東大病院』(飛鳥新社)

医学の進歩に貢献し、患者のために尽くす。医師には、そういう職業意識と使命感が不可欠である。如何にして自分が得するかを第一に考えているような人は、医師としての資質に欠けていると言わざるを得ない。

1980年代の中国では、医師志望の条件として、入試前、2年間の各種奉仕活動が義務付けられていた。日本も見習う必要がある。iPS細胞の発見でノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥・京大iPS細胞研究所名誉所長のような世界をリードする学者になれなくても、少なくとも医師としての自らの仕事に対し、何らかの達成感を持てる人になってほしい。

2025年3月21日、イタリア・ミラノのミラノ州立大学で開催された「Milan Longevity Summit 2025」に出席する、京都大学生物学教授でノーベル賞受賞者の山中伸弥氏
写真=ABACA PRESS/時事通信フォト
2025年3月21日、イタリア・ミラノのミラノ州立大学で開催された「Milan Longevity Summit 2025」に出席する、京都大学生物学教授でノーベル賞受賞者の山中伸弥氏

以前、作家の故・堺屋さかいや太一たいち氏が「欲無し、夢無し、やる気無しの三Y無き社会こそ、現代日本の最大の危機である」と新聞に書いていたのを読んだことがあるが、少なくとも人の命を預かる医師は、そうあってほしくないと思う。

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