専門外の教養が必要なワケ

先生はオペラを作曲し、楽団を指揮された。余人には無理だが、音楽に興味があることが先生にとっては良い医師の四大条件の一つだった。日野原先生は医学においても専門以外の広い知識をお持ちだった。

たとえば先生に、心疾患のため塩分制限をしていた患者の視力が落ちてきた事例を話したところ、「少し塩分を増やしなさい」とおっしゃった。教科書では心疾患の場合は塩分はダメと書かれている。ところが先生の言われたとおりにしたところ回復した。経験に裏打ちされた知識ほど強いものはない。

「医学というものは不確かさの科学である。どんな疾患でもその表現はとても変わりやすい」と近代医学の祖オスラーは述べている。疾患は必ずしも型にはまったものではないのだ。