変化している働き方の価値観

一所懸命に働いて、ようやく定年退職を迎え、これからは自分の好きなように過ごしてよいということになったのに、やることもなければ、つき合う友だちもいない。そんな仕事人間のなれの果てを知り、自分はそうはなりたくないと思う人たちが出てきたのも当然といえる。

給料以上の仕事はしなくていいと思っているような、仕事へのモチベーションの低い部下に不満をもつ経営者や管理職は、そのあたりの事情を考慮しながらモチベーション・マネジメントを工夫する必要があるのではないか。

従業員の仕事に対するスタンスに苛立ちを感じているという経営者も珍しくない。ある経営者は、そうしたギャップについて、つぎのように語る。

「うちの会社に変わり者がいるんですよ。入社してきたときから、仕事の覚えが早いし、仕事を頼むとこっちの意向をしっかり汲み取って、期待以上の仕事をしてくれるし、頭の回転が速くて会議でも適切な発言をするし、とても頼りになるんですけど、重要なプロジェクトに推薦しようとすると断ってくるし、チームリーダーになってほしいと言っても断るんです。

そこで、なぜ断るのか、その理由を尋ねると、『仕事は責任をもって取り組むつもりですけど、あくまでも稼ぎの手段なので、退社後や休日には趣味に心置きなく打ち込みたくて。そのためには会社にいるとき以外も仕事のことを考えなきゃいけないような立場にはなりたくないんです』って言うんです。能力は高いし、貴重な戦力になれる人材だし、何とか考えを変えてほしくて、話し合いをしているんですけど、どうにも頑固で困ってしまいます」

ベッドに座っている高齢の男性
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「期待されない会社」をあえて選ぶ若者

このように仕事がすべてという人生は避けたいという従業員を抱え、しきりに残念がる経営者も少なくない。

考えてみれば、経営者にとっては会社がすべて、仕事がすべてというスタンスを無理なく取れるだろうが、従業員にとっては会社も仕事も自分の人生の一部を占めるにすぎないので、両者の姿勢にギャップがあるのも当然と言える。ここで、私生活を大切にしたいので、受かった会社の中で、最も自分に期待していなさそうな会社を選んだという人の言い分に目を向けてみたい。