ラーメンの完成度を左右するネギとメンマ

ラーメンを構成する要素を論じる時、スープと麺が主役として語られるのは当然だ。そして、「トッピングの王様」のチャーシューや彩りを添えるナルトもまた「顔」としての存在感を放つ。

しかし、忘れてはならないのが、脇役ながら全体の調和を決定づける「ネギ」と「メンマ」である。両者は派手な演出を担うことこそ少ないが、あるかないかで一杯の完成度が大きく変わる。まさに、サブキャラながら絶対的存在と言うべきだろう。

まずネギについて触れたい。ネギは単なる薬味ではない。切り方やサイズなど細かなところにその店の姿勢が表れる。とりわけ重要なのは麺との調和である。口に含んだ時、麺と一緒に咀嚼され、同じタイミングで消えていくよう設計されているか。

あるいはあえて全く違うサイズ感にして、箸休めやアクセントとして機能させるか。その判断一つでラーメン全体の印象は大きく変わる。

ネギがたくさんのったラーメン
写真=iStock.com/chachamal
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また、包丁の状態が如実に現れるのもネギだ。刃が鈍れば断面は潰れ、余計な汁が出て青臭さが増す。逆にきちんと研がれた包丁で切られたネギは断面が美しく、香りは清々しく、スープに雑味を与えない。

その違いは、食べ手が意識せずとも舌と鼻で確かに感じ取っている。ゆえに職人たちは包丁研ぎを怠らず、断面の清冽さに店の誠意を託す。小宮一哲さんが「つけめんTETSU」創業の頃、「中華蕎麦 とみ田」のつけ麺を食べて「なぜこんなにも旨いのか」と考え込んだ時、その答えが「ネギの切り口」にあったという逸話は、ネギの役割を端的に物語っている。

「支那そばや」の創業者である故・佐野実さんは、弟子の修行において最後に教えるのが「ネギの切り方」だと語っていた。それほどまでにネギはラーメンにおいて重要な存在であるということだ。

「ただのタケノコの漬物」は大間違い

一方、メンマは「麻竹まちく」というタケノコを乳酸発酵させた食品で、メンマが持つ繊維の歯切れと独特の発酵香は、ラーメンに欠かせない陰の支柱となっている。

上質なメンマはただのタケノコの漬物ではない。発酵の度合い、戻し方、味付けの濃淡によって、その一杯の方向性を決定づけるほどの影響力を持つ。

スープに寄り添うこともあれば、時に太さや食感で主張を強めて存在感を放つこともある。コリコリとした咀嚼感がスープと麺の合間に差し挟まれることで、食感にリズムが生まれる。派手ではないが、それがあることで全体が締まるのだ。

ネギとメンマには共通点がある。それは、サブでありながら、全体の完成度を底上げする要素であるという点だ。主役を張ることはない。だが、存在の有無、さらには質の高さによって、同じ一杯が「凡庸なラーメン」にも「記憶に残るラーメン」にもなり得る。