「半年受診が遅れても」取り返しのつかないことはない

家族が受診を急ぐ背景には、「早く確定診断を受けて、薬を飲めば進行が止まる」という期待があるでしょう。しかし、専門医の立場から言えば、本人の心が折れるリスクを冒してまで無理に病院へ連れて行くメリットは多くありません。

強引な受診は、「家族に裏切られた」「無理やり病人にされた」という深い不信感を生むことがあります。認知症の場合、受診が半年ほど遅れたとしても、それによって取り返しのつかない事態に陥ることはまずありません。むしろ時間をかけて本人の不安に寄り添い、納得できるタイミングを待つほうが、その後の治療や介護はスムーズに進みます。

認知症のケアは長い時間をかけて続くものです。最初の段階で本人の気持ちを損なうと、その後の関係がずっとギクシャクしてしまいます。「あなたが決めていい」「元気でいてほしい」と寄り添い続けることが、その後の支えになります。