すべてのパートナーは対等であるべき

さらに、アスクルへの注文に必要なカタログは無料で配らず、エージェントさんと制作費を折半したのですが、これについても、特定のエージェントさんに便宜を図ることはしませんでした。

なぜすべて一律にしたかといえば、誰かを特別扱いすれば、それが新たな既得権益となって、他のエージェントさんに必ず不満が生まれるからです。既得権益がなく、新たにアスクルのエージェントとして頑張ろうとしている人たちのやる気をぐことになります。

私は、「すべてのパートナーは対等であるべき」という「イコールパートナー」の考え方を持っています。それを貫き通すことが大切だと考えたのです。

イコールパートナーの方針をチャンスと捉える、チャレンジ精神とやる気のある会社も、どんどんあらわれました。そうしたエージェントさんが営業努力をすることで、大きな売上をあげる事例が次々と出てきました。文具店だけでなく、家具店や食品問屋など、異業種から参入したエージェントさんも好調な売上を見せるようになりました。

割引販売に対する業界団体からの「猛反発」

ただ、これですべてがうまくいったわけではありません。エージェント制度に賛同していただいた小売店さんもある一方で、「アスクルに仕事を奪われている」という認識の小売店さんも、依然としてありました。アスクルの初期の広告では、「もう買いに行かなくてもいいね」をキャッチコピーにしていましたから、反感を持つ小売店さんがあったのも無理はありません。

業界団体や一部の小売店さんから「プラス製品を買うな」という不買運動を起こされたり、業界団体からメーカーさんに対して「アスクルには商品を卸すな」と圧力がかかったりしました。

さらに、くすぶっていた火種が、割引販売を始めたことで爆発しました。

お客様のご要望に合わせ、多くの商品の価格を定価の30%引きにしたことで、定価販売をしていた小売店さんは大きな危機感を持たれたようでした。

業界団体に呼ばれて、「このままだとメーカーから商品が入ってこなくなるぞ」「安売りもそこそこにしておけよ」などと直接的に警告されたこともありました。

相手のネクタイをつかんで怒る人
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

私だけが反感を買うのであればいいのですが、アスクルやプラスの経営陣や社員にも矛先ほこさきが向いたので、私も不安を感じました。その頃、社員からは「電車のホームでは端を歩かないようにしてくださいね」などと冗談めかしていわれていましたが、本心では最悪の事態が起こらないことを祈っていました。

また、一部のメーカーさんから商品を仕入れられなくなると、お客様の欲しい商品を取り扱えなくなりますから、それも痛手です。