女性が最も“損”を被るのは出産時

給与格差が生じる理由を一言で説明するとしたら、それは「子ども」である。若い男女のあいだで、とくにもし彼らに子どもがいないのであれば、給与格差は基本的には消失する。

経済学者のマリアンヌ・バートランドによると、「男性と女性の稼ぎは、カップルの第一子の誕生までは同じように上昇するという注目すべき証拠がある。子どもの出産こそが、女性が損をするときであり、出産で失ったものを取り戻すことは決してない」。

さらに都合が悪いことに、賃金を増やすために決定的に重要な年齢は、30代半ば以降である。この分野のもう1人のトップ経済学者であるミシェル・ブーディグが指摘するように、「キャリア形成に重要な30代半ば以降は、増大する家族への責任が、とりわけ母親に一気に集中する時期と重なる」。

子どもがいない女性の賃金の軌跡は、男性の賃金の軌跡と同じようにみえる。子どもがいる女性(つまり母親)の賃金の軌跡は男性の賃金の軌跡と同じようにはみえないし、女性が子どもを多くもてばもつほど、雇用や稼ぎの観点で女性はさらに遅れを取る。

妊娠した妻とその夫
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異性カップルと同性カップルで比較した結果

スウェーデンとノルウェーの斬新な研究では、同性カップルで新しく母親になった女性と異性カップルで新しく母親になった女性の賃金を比較した。この研究は、給与のジェンダー格差が、ほぼ親であるか否かに起因する給与格差であることを示した好例だといえる。

スウェーデン労働市場・教育政策評価研究所(Swedish Institute for Evaluation of Labour Market and Education Policy)のイルヴァ・モーベリが示したところによると、子どもを出産した女性が賃金の面で受ける不利益な影響は、同性カップルと異性カップルのどちらの家族のかたちであってもほとんど同じだといってよいという。

一方、レズビアンカップルのうち出産をしなかった女性は、異性カップルの父親と同じような稼ぎの傾向を示す。2人以上の子どもをもつならば、長い目でみれば、レズビアンカップルが交代で出産を行うことでレズビアンカップル内での個々の不平等は帳尻が合うようにみえる。対照的に異性カップルの場合、子どもが1人増えるたびに格差は拡大する。