女性間の賃金格差は劇的に広がった

投票はほんの264票だったので、ここでなにか科学的なことを主張したいわけではない。しかし、私のツイッターのフォロワーは、いわばアカデミックなことに馴染みがある人たちであり、社会一般のたいていの人たちよりはこの手の話題にしっかりとした知識をもっている人たちだ。

しかしそれでも、フォロワーからの得票数の順番は、20%、10%、30%、そして最後に正解である40%となった。分断本能はかくも強固なものなのだ。

図表1の賃金の傾向は、分断本能的な思考のもう一つの危険を例証するものだ。すなわち、グループ内での差異の程度をみのがすことだ。

男女の賃金分布は、1979年よりも2019年のほうが重複の程度は大きいが、2019年の男女それぞれの賃金分布の分散はいっそう広がっている。高賃金の男性と低賃金の男性のあいだの格差ほどではないが、高賃金の女性と低賃金の女性のあいだの格差は劇的に広がっている。

男女の賃金分布が近似したことは、ジェンダー平等の立場からみればもちろん飛び上がるほど嬉しいニュースだ。直近50年間は、勤労所得だけでなく、雇用水準、労働時間、職業タイプなどで、男女間の格差が急激に狭まっており、クラウディア・ゴールディンがいうところの「ジェンダー大収斂(grand gender convergence)」を経験したことになる。

左派フェミニストにとっては“家父長制の証明”

しかしながら、教育において女性は成功を収めているにもかかわらず、近年、給与格差をなくすための進捗は緩慢となっていることも事実だ。

では、いまだ残っている格差の原因はなんなのだろうか。この問いへの答えはとても重要である。とくに実現可能な解決策を考えるうえではきわめて重要だ。

基本的な事実については議論の余地はない。すでに指摘したように、典型的な(つまり中央値に位置づけられる)正社員の女性労働者は、典型的な正社員の男性に比べて82%の稼ぎである。検討すべき問題は、なぜ稼ぎに男女差が生じるのか、である。

この論点にかんして、議論はすぐさま白熱したものにかわる。左派フェミニストにとっては、給与格差は家父長制の証明となる。

全米女性機構(National Organization for Women)の代表であるトニー・ヴァン・ペルトによると、「賃金格差は、家父長的な労働システムのあからさまに不公正な残滓であり、それは女性の生涯にわたり経済的な潜在能力を蝕み続ける」。

一方、保守派は、まったく存在しない不平等があるかのような印象を与えるためにフェミニストが捏造した根拠のない神話だとして、給与格差があるという考えをさっさと退ける。