「格差はそもそも存在しない」とする保守派
アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所のクリスティーナ・ホフ・ソマーズによると、賃金格差は「まったく信用に値しない、いっけんもっともらしく思われている擬似事実」だと述べる。
このような主張をしているのは、ソマーズひとりだけではない。2019年の調査では、男性の46%、女性の30%が、不平等な給与の問題は「政治的な目的を果たすためにでっちあげられたものである」と答えた。
給与格差は、それぞれの賃金分布の中央にいる個々の男女が利用できる経済資源の違いを正確に示している。給与格差は神話(myth)ではない。数学(math)なのだ。
本当の意見の対立は、典型的な女性が典型的な男性よりも稼ぎが少ないかどうかをめぐって生じているのではない。なぜ典型的な男女のあいだに賃金格差があるのかをめぐって生じているのだ。
保守派は、給与に影響を与える幅広い諸要因――労働時間、従事している産業、経験、勤続年数、勤務地など――を考慮にいれると、給与格差はほとんど消えてなくなることを示した研究に言及する。この種の様々な研究が、男女の給与格差を正しく調整するとおおむね5%になるだろうと見積もっている。
女性の稼ぎが少ない理由は複数考えられる
連邦政府が委託した2009年の調査報告書の序文において、労働副次官補のチャールズ・ジェームズは、「調整前の賃金格差を、是正措置を正当化する根拠として用いるべきではない。そもそも、正すべき事柄などなにもないかもしれないのだ」と結論づけた。
同じ仕事を同じようにしているのに男性に比べて女性の稼ぎが少ないことを示す証拠は、なるほど実に少ない。女性の稼ぎが少ないのは、女性が異なる仕事をしているか、男性と働き方が異なるか、あるいはその両方のためだ。
もちろん、ここで話が終わるわけではない。管理職に占める女性の割合は少ないため、彼女たちの稼ぎが少ないのかもしれないが、この事実そのものが制度的な性差別の結果であろう。
同様に、男性に比べて女性は、低い給料の職業や産業に偏りがちであるのも事実だ。この事実は、給与格差のもしかしたら3分の1くらいを説明するかもしれない。
しかし、これとて、とりわけ家庭責任や、女性が行った仕事の低評価、あるいはその両方の観点で、社会化されたジェンダー役割を反映しているのかもしれない。いずれにせよ、職業間に給与格差がある一方で、職業内にも同じくらい大きなジェンダーによる給与格差がある。
