さらに、術後のCTで見つかった1.6mmの石灰化についても、医師はこう補足しました。

「これは再発ではなく、術前から腎臓の壁の中に存在していた初期石灰化です。ただ、成分としてはシュウ酸カルシウムである可能性が考えられます」

シュウ酸。その言葉を聞いた瞬間、私は自分の「良かれと思って続けていた習慣」の数々が脳裏をよぎりました。医師が挙げた「シュウ酸を多く含む食品」のリストは、私がビジネスパーソンとしての健康維持のために、意識的に、かつ毎日欠かさず摂取していたものばかりだったからです。

① 緑茶・コーヒー:水分補給は水よりお茶が良いと信じ、デスクワークのお供として1日中飲んでいました。

② ナッツ類:低糖質で健康的な間食として、お徳用のミックスナッツ、アーモンドやクルミ、ピーナッツを常備し、つまんでいました。

③ 高カカオチョコレート:ポリフェノールが血管を若返らせると聞き、カカオ70%以上のものを毎日数枚食べるのが日課でした。

④ ホウレンソウ:野菜不足を補うための最強の食材として、頻繁に摂取していました。

ガラスボウルにアーモンド、クルミ、カシュー、ヘーゼルナッツ
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「石の材料」を毎日のように食べていた

「先生、これらはすべて、健康番組や雑誌で『積極的に摂るべき』と推奨されている食品ばかりです。私は体にいいと信じて、毎日積極的に食べていました」

私の絞り出すような問いに、医師は頷きました。

「その通りです。一般的には素晴らしい健康食品です。しかし、結石体質の人にとっては、これらはリスク要因、いわば『石の材料』になります。健康意識が高い人ほど、特定の良いとされる食品を過剰に、かつ継続的に摂取してしまう。その真面目さが、静かに石を育てる原因になるのです」

私は愕然としました。私の「高い健康意識」こそが、私の体内で最強の鈍器を作り上げていた。ビジネスにおけるリスクマネジメントの鉄則である「情報のクロスチェック」を、私は自分の体に対して怠っていたのです。