お金持ちが「値引き品」を買わない理由
しかし、時間帯を問わず一定数存在するのが、「値引きシールハンター」である。
彼らの目は賞味期限間近の商品を見逃さない。30%オフ、50%オフのシールを見つけた時の勝利感は、ささやかながら確かな喜びだ。
ポイント還元率を暗記し、生鮮食品はスーパー、飲料、日用品はドラッグストア、雑貨は100均と使い分け、時にドンキホーテやカテゴリーキラーの店まで顔をだす。更にボリュームディスカウント品は、コストコやハナマサのような業務用スーパーのチェックを怠らない。この徹底ぶりは、ある意味で「買い物上手」と認めざるを得ない。
だが、富裕層の辞書に「値引きシール」という単語は存在しない。
彼らが見ているのは価格ではなく、品質と鮮度だ。賞味期限が近い商品を避けるのは当然として、むしろ「なぜこの商品は安いのか」と警戒すらする。
安さは品質への疑念のシグナルなのである。
「買い物の目的」が根本的に違う
庶民と富裕層の買い物は、そもそも「目的」から違う。
庶民にとって、スーパーでの買い物は「いかに安く、必要なものを揃えるか」というミッションである。限られた予算の中でやりくりする、一種のゲームでもある。特売品を見つけた時の達成感、ポイント10倍デーを狙い撃ちした時の高揚感。これらは決して馬鹿にできない心理的報酬だ。
だが、富裕層にとって買い物は「時間をいかに節約するか」がテーマとなる。スーパーで30円安い納豆を探すために5分を費やすなど、時給換算すれば完全な赤字である。その5分で本を読むか、仕事のアイデアを練るか、あるいは家族と過ごす方がよほど価値がある。
そのようなわけで、そもそも富裕層の多くは、日常のスーパーには足を運ばない。お手伝いさんや専属の料理人が冷蔵庫を管理し、必要なものは彼らが調達してくれる。買い物という行為自体が、とうの昔にアウトソーシングされているのだ。
しかし――例外がある。

