ただ1つ、トランプにとって明るいニュースもある。今回調査で新たに評価対象となった項目である、ミネアポリスでの反ICE(米移民・関税執行局)抗議への対応だ。

この項目で51%の支持を獲得、全米の都市における犯罪対策(47%)と併せて、トランプにとって高い評価を得た政策項目の1つとなった。

しかし、この項目にすら有権者から厳しい声が寄せられている。

回答者の57%が、ICEおよび税関・国境警備局は、移民法の執行について「行き過ぎている」と答えたほか、55%がアメリカの都市における移民法執行の方法について「強く反対する」もしくは「ある程度反対する」と回答した。

捜査官についても、回答者の86%が、「連邦捜査官にボディカメラの着用を義務付けるべき」と答え、80%が「作戦中に捜査官が身元を明かすべき」と回答している。

有権者は、犯罪者となった移民の摘発には概ね賛成しているが、非犯罪の不法移民まで無差別に取り締まっているという認識も持っている。これはトランプ政権の主張とは相容れない。

共和党内からもインフレの深刻さを指摘する声

調査結果を見る限り、トランプの支持率が崩壊したわけではない。しかし、トランプは各政策分野で徐々に支持を失い続けている。

この種のじわじわとした低下は、特定の出来事に対する反発ではなく、より広範かつ漠然とした熱意の冷却を意味するため、選挙結果に大きな影響を及ぼす可能性がある。

今回の調査結果で、トランプの得意分野(犯罪対策や強硬な移民摘発)と、国民が最も重要視している分野(インフレと経済)との間に、ミスマッチが広がっていることが明らかになった。

有権者は、インフレが悪化しており、経済が縮小していると考えている。現在の経済状況になった原因を「トランプ政権によるものだ」と答えた有権者は前回調査比11ポイント増の63%に上った。

本調査の共同ディレクターで、米グローバルマーケティングエージェンシーネットワークであるスタッグウェルのマーク・ペン会長兼CEOも「アメリカ国民は、経済が悪化し、インフレが加速していると感じており、それに伴いトランプ大統領の支持率も徐々に低下している。移民問題では、アメリカ国民は犯罪歴のある移民の追放には賛成しているが、ICEが行き過ぎた取締りをしており、無作為に移民を摘発していると見なしている。この2つの傾向を踏まえると、共和党は2026年の中間選挙で苦戦を強いられるだろう」と指摘している。

共和党内部からもインフレの深刻さを指摘する声が上がっている。共和党系の世論調査員、ダロン・ショーは「大統領が直面している困難は2つある。1つは民主党による事実上の一致した反対姿勢、もう1つは頑固なまでに高止まりする物価だ」と発言した。

トランプは世論調査の結果を受けとめない

有権者の55%はトランプの政策が選挙公約と「非常に一致している」もしくは「ある程度一致している」と答えている。また、第2次トランプ政権最初の1年で、賛否は別にして多くの成果を上げたかという質問に対しては、54%が「多くの成果を上げた」もしくは「ある程度の成果を上げた」と回答した。

しかし、経済が最後に好調だったのはいつか聞くと、52%が「新型コロナウイルス感染拡大前の2020年」と答えたほか、56%は「現在の経済は縮小している」と考えている。

このねじれた評価が、インフレ対策や経済運営に関する支持率の低下を引き起こしている。これらの分野では、1年間にわたり支持率がゆっくりと30%台後半へと下がっており、中間選挙において大きな逆風となるだろう。

しかし、トランプは自身に都合が悪い世論調査の結果に耳を傾けない。実際、トゥルース・ソーシャルに「虚偽で詐欺的な世論調査は、事実上の犯罪と見なすべきだ……この『世論調査詐欺』を阻止するために、あらゆる手段を講じる!」と投稿している。

取り巻きも同様のようだ。ホワイトハウスの報道官、クシュ・デサイも、過去に本誌に対して「トランプ大統領は、ジョー・バイデンの経済的惨状と国境危機を立て直すことを公約に掲げて当選した。そして、それを実現している。実際、インフレは沈静化し、GDP成長は加速し、国境は封鎖された」と語り、トランプの事績を強調した。そして、「メディアは、アメリカがわずか1年でどれほど前進したかを報じる代わりに、次から次へと作り上げられたスキャンダルに執着している。大統領は、彼を政権へと押し上げた一般のアメリカ国民と共にいるときにこそ、最も真価を発揮する。今後も成果を出し続け、フェイクニュースを排し、国民に直接訴え続ける」とメディア批判を展開した。

移民法執行やインフレに対する懸念は今後も続くのだろうか。今後も継続的に行われる世論調査結果が待たれる。

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
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