ただし「予防接種」は適用外

【小林】いい質問ですね。医療費控除の対象になるかどうかは国税庁のウェブサイトで確認していただきたいのですが、基本ルールは「治療を目的とした医療費」なら○、「予防を目的とした医療費」なら×です。

【梅田】治療は○で、予防は×……

【小林】たとえば、病院で払った治療費はいいけれど予防接種はダメといった感じですね。ちなみに、所得が200万円以上の場合、医療費から10万円を引いた金額が医療費控除として認められるということは、医療費総額が少なくとも10万円を超えないと申請できない、ということになります。

ワクチン接種
写真=iStock.com/SeventyFour
※写真はイメージです

【梅田】医療費10万円は結構ハードル高いですね……。では、具体的に確定申告で医療費控除の申請をするときはどうすればいいんでしょう?

【小林】確定申告のときに、病院や薬局の領収書やレシート類をもとに作成した「明細書」を提出し、確定申告書の医療費控除の欄に記入するだけです。以前は領収書やレシート類の原本を税務署に提出する必要があったのですが、2017年分の確定申告からは提出しなくてもよくなりました。ただ、税務署から提出を求められることもあるので、5年間は保管しておかなくてはなりません。

【梅田】……ちょっとめんどくさいですね。

【小林】気持ちはわかります。確定申告の計算をした結果、還付金が出る、つまりお金が戻ってくるケースについては、申告を怠っても違法ではないので放っておくという判断をしても問題になることはありません。しかし、それでは戻るべき還付金が戻らず、本人が損するだけ。手間を省くか、たとえ少額であってもお金をとるか、個人の価値観で選択することになります。

家を売ったときに確定申告すると税金「0」

【梅田】最後の③「納税額も還付金もないが確定申告をすべき」ケースとは?

【小林】確定申告すると特例によって税額がゼロになるケースがあるんですよ。

【梅田】特例というと、たとえば?

【小林】一般的なものだと、「居住用不動産を売却した場合の3千万円控除」というものがあります。これは、自宅やその敷地を売却した場合、控除を受けるための指定の書類を提出すると、売買で得た所得から最大3千万円引けるというものです。たとえば自宅を売って得た収入から購入額などを引いてなお2千万円残ったとしましょう。それでも3千万円以内ですから、ゼロとみなしてくれます。

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【梅田】2千万円がゼロに? これ、税額でいうとどれくらいがゼロになるんでしょう?

【小林】そもそも家を売って利益が出たら、確定申告する必要があることは前述のとおり。不動産を売却したときにかかる税率は、所有期間が5年超であれば20.315%、5年未満なら39.63%です。2千万円にこの税率を掛けると、406万3000円または792万6000円が税額です。特例を使わないと、これだけの税金を負担しなくてはなりません。

【梅田】たしかにそれだけの金額がゼロになるんだったら、したほうが絶対にいいですね。「家を売ったら確定申告する」と覚えておきます!

【小林】また、家を売って逆に損したときも、確定申告するとその年の他の所得と合算して所得税や住民税を減らせる可能性があるので、あわせて覚えておくといいですよ。この相殺を「損益通算」といいます。

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