邦人救出の手段については、口に出すのではなく、水面下で台湾当局などと折衝すべきだろう。首相は深く理解しないまま、アドリブで発言しているのではないか。
それはそれで問題だが、自民党が圧勝すると、首相の台湾有事への対応、中国に対する毅然とした外交姿勢が国民に受け入れられたということにもなる。
中国も、高市政権が長期にわたる可能性もあると読むだろう。それゆえ、11月の深圳でのAPEC首脳会議の際に習近平国家主席との日中首脳会談は実現すると思われる。
だが、レアアースなどの輸出規制強化や水産物の輸入停止などの嫌がらせが続くのは間違いない。自衛隊機へのレーダー照射などの挑発行為も当面継続するのではないか。
「小(公明党)が大(立民党)を呑んだ」
中道改革連合は、1月22日に結党大会を開き、正式に発足した。保守右派色の強い高市政権に対し、政界再編も視野に現実路線の政策を打ち出した。新党には立憲民主党144人、公明党21人の衆院議員計165人が参加した。
衆院選に臨んでは、公明党が小選挙区から撤退し、新党に参加した立民党出身者を支援する。その見返りに公明党出身者28人が全国11ブロックの比例選単独上位で優遇される仕組みになっている。
1月19日に公表した基本政策では、安全保障関連法が定める存立危機事態での自国防衛のための自衛権行使は「合憲」とし、エネルギー政策では将来歴に原発に依存しない社会を目指すとしつつ、条件付きで再稼働を容認した。立民党が従来の路線を大幅に転換し、公明党に歩み寄った。党名からして創価学会の池田大作名誉会長が掲げた「中道主義」から採り、党の綱領には「人間主義」がうたわれた。理念・政策的には「小(公明党)が大(立民党)を呑んだ」とも言われる。
一方の野田氏は「排除の論理はとらない」とし、立民党内の左派を切るのではなく、左派を現実路線に転換させ、2人の離反者を除いて新党に合流させた。その戦略と政治的力業は評価に値するが、それだけ立民党出身者にとって、比例復活当選する枠が削られても、各小選挙区で1~2万票とされる公明・創価学会票への期待が大きかったのだろう。
だが、各社の終盤情勢を見る限り、期待された「1+1」は「2」に届いていない。安全保障、原発などの政策で対決姿勢を示す左派・リベラルの無党派層が離反したことも影響している。国民民主党との候補者調整もうまく行かず、組織票が中道改革連合に一本化されなかったことも一因だろう。立民党出身の野田氏、枝野幸男元代表、安住淳共同幹事長らの苦戦が伝えられている。
立民、公明両党の参院議員、地方議員は当面、中道改革連合に合流しない。衆院選で惨敗すれば、野田、斉藤両氏の進退問題に発展し、場合によっては党が分解し、元の立民、公明両党に戻るのではないかという観測もないわけではない。
中道にとって、ここは踏ん張りどころではないか。


