党内には消費税減税反対論も少なくない。4日の読売新聞が衆院選立候補者へのアンケートで、消費税について、自民党は「限定的に減税」が74%と最多だったが、「現状を維持」も20%で2番目に多かった。現状維持派には、現職閣僚の林芳正総務相、赤澤亮正経済産業相、金子恭之国土交通相、党側では岸田文雄元首相、石破茂前首相、小野寺五典税制調査会長らが名を連ねている。麻生太郎副総裁は回答していない。

「『外為特会』の運用が今、ホクホクだ」

衆院選後、消費税減税が物価高対策に有効なのか、という議論も蒸し返されるだろう。財源が曖昧なまま大幅減税に踏み切れば、円安を助長し、エネルギー、食料品の物価上昇に向かうほか、金利の上昇を招いて住宅ローンの負担増などに響く可能性があるからだ。

だが、首相は、食料品の消費税ゼロを公約にして戦い、国民の熱狂的な信任を得れば、実行に移さざるを得ない。「首相としては(26)年度内を目指したい」とも語ったが、制度設計にかかるスケジュール感を考えたら、軌道修正せざるを得ないのではないか。

首相から円安是認発言が出ながら、大勝してしまうことも、気になるところだ。

首相は1月31日の川崎市での応援演説で、円安進行をめぐって「輸出産業には大きなチャンスだ。『外為特会』の運用が今、ホクホクの状態だ」と言い放った。

首相は「かつて民主党政権の時、ドルは70円台の超円高で、日本でものを作って輸出しても売れないから、日本の企業は海外にどんどん出ていった。失業率もすごく高かった。それがいいのか」「為替が変動しても強い日本の経済構造を作りたい。国内投資をもっと増やしたい」とも語った。

首相は2月1日、自身のX(旧ツイッター)で「円安メリットを強調した訳ではない」と釈明したが、翌2日の東京外国為替市場の円相場は一時、1ドル=155円台半ばに振れた。円安の進行を防ぐために日米財務当局が連携し、為替介入の前段階となる「レートチェック」を行っていた中での首相の円安是認発言はいただけない。

首相は2月5日、佐賀県白石町での応援演説で「私を潰したい人はいろんなことをやってくる。テレビや週刊誌で『なんてこと言っているのだろう』というぐらい、あの手この手で攻めてくる」「『積極財政なんかやっていたら、経済がおかしくなる』。そんなこと言う学者もいるけど、そうじゃない。経済のパイを大きくしなかったら、何もできない」と訴えた。衆院選で圧勝することで、党内の財政規律派を抑え込むという戦闘宣言なのだろう。

国会議事堂
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「日本が逃げ帰ると、日米同盟は潰れる」

高市首相は、台湾有事をめぐっても選挙戦で危うい発言を続けた。

1月26日夜のテレビ朝日の番組で、台湾有事の際に日米が自国民退避で連携するシナリオに言及し、「共同で行動を取っている米軍が攻撃を受けた時、日本が何もせずに逃げ帰ると、日米同盟は潰れる」と述べ、自衛隊派遣の可能性を示唆した。どの事態が安全保障関連法の存立危機事態に該当するかは「法律の範囲内で総合的に判断する」とも述べ、あくまで状況次第だと強調した。

台湾有事をめぐっては、首相が昨年11月の国会答弁で、集団的自衛権を行使する「存立危機事態」になり得るとの認識を示し、中国が反発した経緯がある。

安保関連法では、存立危機事態という極めて限られた条件の下で、集団的自衛権を発動することができる。具体的には「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」と厳格に定義されている。在留邦人や在留米国人を救出活動中の米軍への攻撃に対する自衛隊の武力行使は、こうした定義に当てはまらないというのが一般的な解釈である。