アメリカ精神医学会の診断基準
心や感情が安定している状態では、それぞれの神経細胞からそれぞれの神経伝達物質が、よく分泌されています。
ところが、これらのバランスが崩れると、心や感情、情動に変化が起こります。そして、こんな症状が現れます。「やたらと怒りっぽくなる」「イライラする」「覇気ややる気がなくなる」「悲しみに沈む」「不安にとりつかれる」などです。
うつ病の治療薬は、これら脳内物質の生理学に立って開発されたもので、神経伝達物質のバランスを整えるのを目的にしています。精神科では「セロトニンの異常がうつを引き起こす」との仮説に立ちますが、それはあくまで仮説。
僕は、セロトニンの異常もストレスの結果ではないかと考えます。精神科の多くでは、患者さんの症状を聞いて、「DSM-IV」というアメリカ精神医学会の診断基準に従って診断しています。
「意欲が湧かない」「食べられない」「眠れない」「体重が減少してきた」「焦る」「集中力がなくなった」「性欲が湧かない」「死にたい」のうち、5つぐらいが該当すれば「うつ病」と診断されます。
もしもあなたが「うつ病と診断されたい」と思うなら、この基準に当てはまる症状を精神科医に伝えてみると、多くの医師が「うつ病」との診断を下してくれるでしょう。
原因不明でも薬が出る
しかし、なぜ「うつ病」と診断されたいと思ったのでしょうか。そのことを、もう一度考えてみてほしいのです。ここが「うつ病」を克服するうえでの大きなポイントになると僕は考えます。
精神科を訪れた人は、自分のしたいことができていない状態にあり、医師や周囲の人の助けを必要としていたのではないでしょうか。あるいは、“病気”という理由がほしかったのではないでしょうか。
いずれにしても、精神科を受診すれば、なんらかの病名がつき、薬が処方されます。患者さんは、ずっと薬を飲みつづける治療を希望して病院を訪れたのでしょうか。
そうではないでしょう。健康を回復したくて医師を頼ったのに、医師はブラックボックスのなかにある病気の原因を探すことなく、薬を処方するのです。精神科医は、医師のなかでも、とくに薬好きです。
精神科医が「心の専門家」であると思っていると、医師も患者さんも互いに不幸です。
