<移民政策を推進している先進国もあるが、それらと比較しても日本の移民政策はよくできているのかも:小暮聡子、深田莉映>
京都、ローソンの店舗
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――著書にはカナダが日本と比較されやすいとあるが、なぜカナダが比較対象になるのか。

カナダは、植民地を持たなかった点が大きい。ドイツも植民地はなかったが、戦後にゲストワーカー・プログラム(期限付きの外国人労働者受け入れ)を通じて、事実上トルコなどを勢力圏に置き、植民地型に近い受け入れをした。一方でカナダは、そうしたゲストワーカー政策を経ず、植民地も持たなかった。そのため、経済的な理由に基づいて人を受け入れることに特化しやすかった。

地理的条件も重要だ。アメリカの北に位置し、他国と陸続きの国境が少ない。南から大量に人が流入する状況でもなく、管理しやすい「島国的」な条件を持っている。就労目的で、必要に応じて人を受け入れるという点で、日本と客観的な条件がよく似ている。

――オーストラリアはどうか。ワーキングホリデーの人たちを純粋な労働力としてカウントしていて、技能実習生に似ているようにも思えるが。

技能実習生よりも、さらに純粋に労働力として扱われている面がある。植民地を持たず、地理的に孤立している点ではカナダに近い。

もともと面積に対して人口が少なく、少子高齢化以前から人口不足という課題を抱えてきた。(非白人の移民を制限した)白豪主義を取っていた歴史もあり、短期で受け入れ、働いてもらい、帰ってもらうという発想が強い。

――韓国の移民受け入れはどういう状況か。

韓国は2004年から人手不足に悩む中小企業が政府の許可を得て、外国人労働者を合法的に雇用できる雇用許可制を取り入れ、制度としては先進的だとの評価もある。ただ、移民政策の特徴は基本的に在外韓国人の同胞を呼び戻すことにある。

雇用許可制には一般雇用許可制と特例雇用許可制があり、特例雇用許可制は中国などにいる朝鮮族を対象としている。韓国は、血縁を離れて人を受け入れるプログラムを、まだ本格的には作っていない。基本的に血縁関係を基盤にした、家族ベースの移民政策を取っている。

そう考えると、日本と比較する対象として韓国が近いかというと、あまりそうではない。こちらから見て学べる点は、正直それほど多くない。

ただ逆に、韓国から見ると、日本は最近かなり注目されている。韓国でも外国人メイド制度を始めた際、日本が特区で行っている家事支援外国人のプログラムを研究し、ほぼそのまま移植している。

韓国から見ると、日本が血縁を離れてより一般的にオープンなプログラムを作っている点は非常に興味深いのだろう。人手不足が進み「移民を受け入れないといけない」という認識も強まってきているなか、日本の制度から学ぼうとしている状況だ。

――著書の中で、日本は国際的に見てもリベラルで開放的な移民政策を取っている国だと書いている。日本は労働移民のうち永住型が約25%であり、外国人労働者を「使い捨て」にしていない、と。この約25%は、どういう人たちなのか。

「技術・人文知識・国際業務」という、いわゆるホワイトカラー向けの在留資格で来る人たちを指している。「技術」はエンジニア、理工系で、特にIT分野が多い。「人文知識」は企業の総合職。「国際業務」は通訳的な仕事で、海外取引の担当や、最近ではホテルのフロントなど、インバウンド対応も含まれる。

こうしたホワイトカラー層のうち、相当数が長期にわたって日本で暮らしている。ただ、来る時点で永住を強く意識している人ばかりではない。具体的な調査があるわけではないが、途中で帰国する人も多く、最初から全員が永住を目的にしているわけではない、というのが実態だと思う。