習近平が主席である限り厳しい経済が続く
【津上】鉄の胃袋の持ち主でも、毒素は回るわけです。だから溜まった毒素の大掃除をしないと中国経済は健康になりません。でも大掃除には時間がかかるから、「この先10年はゼロ成長、低成長」に耐えなければなりません。そんな我慢は、習近平が実権を握っている間はできないんですよ。だって主席として三選、四選されるために「中華民族の偉大な復興」っていう大風呂敷の公約をしちゃったんですから。
【小泉】本丸である不動産・インフラ投資の清算ができるかどうかが、この先、今のような人民解放軍を維持できるかどうかにも影響してくるんでしょうね。
【熊倉】中国の財政ですが、90年代に思い切った税制改革があり、その結果、中央財政だけはひとまず大丈夫という国になりました。
【津上】確かに中央財政は非常に健全だから、中国はしばらくやっていけますね。国債発行残高のGDP(国内総生産)比率は日本の7分の1強。最近日本の後を追って国債を大量発行して、問題の先送りや成長低下の穴埋めをする道に入り始めましたが、続ける余力はまだまだあります。
地方分権を進められるかがカギ
【熊倉】中央優先をやりすぎたから、再び軌道修正も必要です。そのとき、ハードルになるのは、「地方に権限を与えすぎると、二つの司令部になる」という不安感を克服できるかどうかですね。
【津上】「中国はデカすぎるから分権のほうがいい。ロシアでエリツィンがやったような、ある種の妥協的地方分権はどうか?」と言われますが、中国人にはそれはできない。毛沢東と林彪のときに言われた「二つの司令部」という有名な言葉通り、中国にとって権力の分散、つまり分権は混乱を意味します。
皇帝と臣民の間には皇帝の手足となる官僚しかおらず、封建諸侯といった夾雑物が挟まらない二元構造が中国統治の理想型なので、「地方に権限を与える」というのは、中国では難しいでしょう。
【小泉】エリツィン的なやり方は、「行き着く先はロシア連邦解体だ」と思われて、ロシア人にも不評でした。
【津上】それをプーチンが立て直せたのは、やはり資源の値段が上がったからでしょう。プーチンにとっての石油価格の上昇みたいな僥倖が、中国にも今後あるかどうかですね。




