楽天トラベル社長 山本考伸

最近大きく伸びているサービス、RACCOにも注力する。

「RACCOは法人向けのサービス、一言で言えばコーポレート決済です。出張しても自分でお金を払う必要はなくて、私たちが企業様から受け取ったお金を、そのまま施設に支払う」(山本社長)

楽天トラベル(旧「旅の窓口」)の黎明期では、ホテルと法人契約をした企業よりも安い値段で宿泊できるとして、驚きをもって迎えられた。企業はホテルとの契約を次々と解除し、楽天トラベルを使い始めた。このRACCOでは、逆に法人契約を結び直している。

「このサービスが12年では前年比5割以上の伸びです。通常のプランから値段が変わるわけではないのですが、手続きがより簡単になり、より楽に宿泊できるわけです」(山本社長)

オラガ HSC 社長 牧野知弘

業界内での競争が健全なものであれば、利用者、特にヘビーユーザーであるビジネスパーソンにとっては非常に望ましい限りだ。しかし、これまで数々のビジネスホテルを見てきた牧野知弘 オラガ HSC社長は現状が必ずしも理想の状態とは言えないと警鐘を鳴らす。

「業界内での過当競争がモラルハザードを生むという心配はやはりあります。1つは防犯。フロントが手薄なので、出入りが完全に掌握できているケースは多くはない。それから、実は一部のビジネスホテルでは扉の付き方が普通とは逆で、廊下側に開くようになっている。大手チェーンにしてもそうなんです。これは少しでも部屋の広さを確保するためのようなのですが、この何がまずいかと言うと、誰かが入ってこようとしたとき、ドアを押すよりも引っ張るほうが腕力が必要ということ。つまり力の弱い人であれば簡単に押し入られてしまう可能性がある」

災害時の対応にも不安は残る。夜間や早朝といった時間に災害が発生しても、宿泊客の誘導、安全確保を十全に行いうるのか。高収益に安住せず、ビジネスホテル各社には、安心と安全の確保が求められる。

(文中敬称略)

(小倉和徳、熊谷武二、岡本 凛=撮影)
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