大学ノートを3冊1セットで使用する

TDKの社内手帳(手前)。3冊セットで使うA4キャンパスノート(中)、筆記具は4色ボールペンのジェットストリームを使用。

電子部品を扱っている会社の社長なので、手帳も最新の電子手帳なのでしょうとよくいわれますが、実際は、最初に香港で手帳用に手に入れた、A4サイズのカバーつきノートを、いまも大事に使っています。ただし、同じなのは革製の表紙だけ。中身は大学ノート3冊を両面テープで張り合わせただけの、シンプルかつ素朴なつくりです。

そもそもこれには無地のノートが入っていたのですが、すでに製造中止になってしまったので、苦肉の策として大学ノートで代用しているにすぎません。ちなみに3冊を1セットとしているのは、元のノートの厚さがちょうど3冊分だからです。

使い方で工夫をしているのは、あとで読み返したときすぐわかるよう、4色ボールペンで内容によって色を使い分けていることと、英語を多用していることくらいでしょうか。

英語で書くのは、香港・中国時代は会議や打ち合わせが英語で行われていたので、それが自然だったからです。

それで、2006年6月に社長に就任したのを機に、18年ぶりに日本に戻ってからも、しばらくは英語だけで書いていました。ただ、日本にいるとどうしても日本語を耳にする機会のほうが多いせいか、途中から英語と日本語の併用となり、近ごろでは日本語の分量のほうが、増えています。

私のこの手帳は、見た目もかなりインパクトがあるようで、よく「重くないですか」と心配されます。たしかに手帳にしてはいささか大きく重さもあるので、携帯性にすぐれているとはお世辞にもいえません。

でも、ノートパソコンに比べればまだこちらのほうが軽いし、なによりスイッチを入れて立ち上がるのを待つような無駄な時間も必要ないので、使い勝手はこちらのほうが数段上。「野武士集団」と呼ばれているTDKの社長には、多少武骨でも実用第一のこの手帳が、ちょうどいいのではないでしょうか(笑)。

ただ、正直にいうと、最近試しにタブレットPCを使ってみたら、これが実に便利なのです。出張中でもスケジュールがわかるし、メールも読めます。おまけに中国でもアメリカでも韓国でも問題なく使える。文字が拡大できる機能も、私ぐらいの年齢だと実に助かります。

というわけで、これからは従来の手帳とタブレットPCの二刀流になりそうです。ますます重量が増えてしまいますが、日ごろから水泳とウオーキングで鍛えていますから、心配は要りません。

TDK社長 上釜健宏
1958年、鹿児島県生まれ。鹿児島県立加世田高校卒。81年長崎大学工学部卒業後、東京電気化学工業(現TDK)に入社。2002年執行役員、03年常務執行役員を経て、04年取締役専務執行役員。06年から現職。香港・中国に18年間の駐在経験がある。
(山口雅之=構成 渋谷高晴=撮影)
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