世間では「似たもの同士」のほうがうまくいく、と考える風潮がありますが、どちらがいいとは一概に言い切れません。
心理学に「釣り合い原理」という考え方があります。人は似たような他人を選択する傾向が強く、そういう人たちのほうが、関係が長く続きます。自分に似ていれば、意見や関心が一致しやすいため、自身が正当化され、ひいては自信が持てるようになるからです。
たとえば海好きな人が、わざわざ興味のない山登りサークルに参加しません。それと同じで、そもそも人が誰かと出会うとき、はじめから自分に合いそうな集まりを選んでいるのです。
人と人が関係を築いていくことは、お互いが共有できる範囲を広げていく行為でもあります。例えば、自分の円があるとすれば、その重なりが多ければ多いほど、似たもの同士ということになります。
ただし、重なる部分が少なかったとしても、一致しない部分に対して「あなたはそういう考え方なのね」と、違う価値観を受け入れることができれば、それはそれで親密になれます。趣味も何もかも違うのにいいカップルというのは、似ていない部分を認め合える、理解できるという部分で繋がっているのです。ですから、「似たもの同士」であるか否かは、結局どちらでもいいのです。
ただ、あまりにも違いすぎると、共通項を探したり、相手の価値観を受け入れること自体、非常に困難です。ある程度似ている人のほうが、楽に、より早く良好な関係を築くことができます。