誰の言うこともまずは受け入れてみる

「女の敵は女なのか?」と聞かれれば、絶対に「NO」です。

私はアパレルブランドの販売員をしていたのですが、そこは個性の強い女性ばかりの職場。表向きは笑顔でも、いつも不機嫌な人や、挨拶しても無視する人、いろんな人がいました。同期が次々に辞めていくほど上下関係も厳しかった。

もしそんな環境で、「女の敵は女」と思ってしまったら、日々敵に囲まれて過ごすことになり、身がもちません。私は笑顔で売り場に立ち、お客様に大好きなブランドをもっと知ってもらい、笑顔になってほしいと思っているのに、「あの人、感じ悪い」「あの人にこんなことをされた」などということで頭がいっぱいになっていては、お客様の前で本物の笑顔にはなれません。

そして、あるとき気づいたのです。いろんな人がいるけれど、その人たちを敵にするのも味方にするのも、すべては私次第なんだと。

新人のころ、私は先輩の「売り場は100年早い」の一声で、裏方の重労働、倉庫整理に追われ、昼食抜きで働いていました。先輩たちは交代で休憩に行くのに、誰も私には「お昼、行ってきていいよ」と言ってくれなかったからです。空腹と疲れでフラフラになって帰路についたある夜、こう思いました。

「そうか! お昼に行ってきていいですか、って聞かない私が悪いんだ」

同時に、この経験で在庫管理や商品整理のノウハウもしっかり身についていたことに気づきました。それ以来、先輩たちとの接し方が変わりました。先輩の言うことには必ず一理ある、まずはいったん受け入れようと決めたのです。

入社2年目でサブチーフになったころ、新しく異動してきた店長にこう言われたことがあります。

「ちょっと、この店では店長に品出しをさせるの?」

それまで彼女がいた店では高級感のある優雅な接客が求められていたため、特に店長は落ち着いて店全体を見ている必要がありました。一方、私の店は百貨店の中にあり、お客様の回転が速かったので、スタッフ全員でたびたび倉庫に行って品出しをしなければ回りませんでした。でも話をよく聞くと、「頻繁に店長が店を空けるのはよくない」という彼女の主張ももっともです。悩んだ末、年上の部下たちに頭を下げて頼みました。

「1度、新しい店長の方針でやってみてもらえないでしょうか。一生のお願いです」