他人に振り回されず、疲れない生き方は何か。禅僧の枡野俊明さんは「相手によって“いい人”でいようとすると、しだいに『自分の素顔』がわからなくなり、周囲に『信用ならない人だ』というふうに見られる。それでも『いい人だと思われたい』気持ちがむくむくとわいてきたなら、自分自身に向かって、『私の人生の主人公は私』と問いかけるといい」という――。

※本稿は、枡野俊明『疲れない心をつくる休息の作法』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

外を歩く女性
写真=iStock.com/pickingpok
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「八方美人」はかえって嫌われる

「いい人」を演じていると、
やがて「素の自分」を見失います。

「みんなにいい人だと思われたいですか?」

多くの方は「イエス」と、首を縦に振るでしょう。

自分のことを一人でも「イヤな人だなあ」と思う人がいたら、つき合いにくいものです。だから、多少無理をしてでも「いい人」に思われるようにふるまってしまうのでしょう。

たしかに、そのほうが人間関係に余計な摩擦を生じさせずにすみますが、自分自身は無理をする分、非常に疲れます。

もう一つ、質問します。

「あなたは八方美人になりたいですか?」

こちらは「ノー」と、首を横に振る人がほとんどでしょう。

「八方美人」という言葉には、「あっちにいい顔、こっちにいい顔」と、相手を見ながら、自分の言動をころころ変えるような、あんまりいいイメージはありません。

しかし、「みんなに『いい人』だと思われたいけれど、八方美人にはなりたくない」というのは矛盾しています。どちらもほぼ同じ意味だからです。

そこを踏まえると、

「みんなにとっての『いい人』を目指すと、八方美人だと思われ、かえって嫌われる可能性が高い」

ということに気づくのではないでしょうか。