2026年は厳しい年になるか
最後に、2026年の興行はどうなるか。
それはまったくわからない。今年が良かったからといって、来年も良いとは限らない。繰り返しになるが、映画は作品次第であり、いい作品が出てきても、そのときの社会の流れや運でヒットしないこともある。どんな風が吹くかはコントロールできない。興行は水ものだ。
ただ、今年のようなメガヒットは、何年も連続で生まれるものではない。すでに発表されている2026年公開作品には、大ヒットが期待できる作品も多いが、今年の数字を上回るのはかなり難しいだろう。もし大逆転があるとすれば、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第二章』だ。公開時期は未発表だが、2026年に公開されれば、再びのメガヒットが十分期待できる。
逆に、不安定要素としてあるのは、Netflixによるワーナー・ブラザースの買収だ。それによる日本への影響は大きい。現時点では買収が成立するか不透明だが、もしそうなれば、ワーナー・ブラザースの洋画の東和ピクチャーズによる日本配給もこの先どうなるかわからない。
ワーナー・ブラザースの邦画は、山田裕貴と佐藤二朗共演によるサスペンス『爆弾』がヒット中だが、これまでにも『るろうに剣心』シリーズなどヒット作を多く送り出していた。2026年も契約済みの作品は残っているが、それ以降はなくなる見通しだ。邦画市場へのインパクトは大きい。
2025年の歴史的な興行が残すもの
そうしたなか市場に望まれるのは、今年はメガヒットが連発し、とくに下半期はいくつもの作品が社会的な話題になったことで、イベントムービーだけでなく、さまざまな映画に関心を持つ層が増えることだ。
全体の興収は、メガヒットが何本生まれるかに影響されることが多い。それはどうなるかわからない。ただ、興行の下支えとなる映画人口が、映画業界にとって歴史的な1年になった今年の興行を経て、少しでも上振れることが期待される。それが来年の興行を下支えするだろう。



