転職活動で失敗する人、うまくいく人は何が違うのか。3人の20~30代の男女に転職体験を聞くと、2人は今、前職に戻って働いていることがわかった。転職前・中・後にどんなことを感じたのだろうか――。

※本稿は、佐野創太『転職・退職を考えたら知りたいことが全部のってる本』(主婦の友社)の一部を再編集したものです。

オフィスで行き詰って頭を抱えている男性
写真=iStock.com/nathaphat
※写真はイメージです

私が会社を辞めた理由 転職体験者インタビューその1

Y・Hさん(35歳・女性)
○ 既婚、子どもなし
○ 転職経験3回

〈今の職場はリファラル転職。いくつかの会社を経験することで自分の「軸」が定まりました。転職は3回しています。回数としてはやや多めかもしれません〉

老舗企業、スタートアップ企業、さまざまな業界を経験する

最初に入ったのは歴史のある老舗企業で社風は保守的。年功序列がしっかり残っていました。2年ほど勤めましたが、成長している実感がなくて転職を決意。2社目は全国に系列施設を持つ大手観光会社でした。ここには10年近く勤めました。

仕事は面白く、大きな不満もありませんでしたが、慣れてくるとだんだん物足りなくなってしまうんです。性格的に、「繰り返す」ということが苦手みたい。また、それまでの勤務先は評価の定まった企業でしたが、短期間で飛躍的な成長を目指すスタートアップ企業で働いてみたいと思っていました。

それで思い切ってスタートアップ企業に転職。ここではフルリモートワークなど、新しい体験もさせてもらいました。それまでの勤務先とは企業風土が違い、刺激的でしたね。転職の予定はなかったのですが、以前の勤務先だった観光会社から「戻ってきませんか?」とお誘いを受けたんです。元上司が会社に話を通してくれた、いわゆるリファラル転職(推薦や紹介による転職)です。

以前の会社に戻るメリットは?

リファラル転職の選考過程は企業によって違うようです。私の場合は、直属の上司になる方などとの面接、人事と本部長との面接と、2回の面接がありました。以前の仕事ぶりは評価していただいていましたし、面接官には面識のある方もいらしたので、あまり緊張はしませんでした。

在籍したことのある会社に戻るメリットは、自分の性格と社風との相性がいいとわかっていることです。嫌いになって辞めた会社ではないので、不安はありませんでした。今回は、お客様に提案する新しいサービスの管理運営チームを任せていただけるということでした。いくつかの会社を経験して、ここは自分のやりたいことに合っているなとあらためて感じています。

転職エージェントの思惑に振り回されたことも

リファラル転職以外の2回は、転職エージェントを利用しました。けれど初めのうちは、エージェントをあまりうまく活用できていなかったと思います。

転職エージェントというのは、利用者が紹介企業に入社することで成功報酬を得るビジネスです。ですから第一の目的は「転職させること」なんですよね。考えてみれば当たり前なのですが、そこがよくわかっていなかった。なんとなくしっくりこない会社なのに、エージェントが追い立ててくるのでいらだつこともありました。スムーズに転職を重ねたわけではなくて、面接はけっこう落ちまくっています(笑)。

【図表】面接でうまく答えられなかった質問は何ですか?(年代別/複数回答可)
出典:エン/図表=プレスリリースより

結果的に私は3回転職したわけですが、転職を重ねるのが無条件にいいことだとは思いません。どんな職場にも不満の種はありますから、軸が定まっていないと退職を繰り返すだけになってしまいます。

いくつかの会社に籍を置きながら私が確信したのは、「自分にはBtoB(企業対企業)よりBtoC(企業対消費者)のほうが向いている」ということと、「自分が一生懸命に取り組めること以外に時間を使うのはイヤだ」ということです。

その点で今の職場には満足していますが、先のことはあまり考えず、目の前の仕事に集中しようと思っています。いずれは子どももほしいと思っているので、ライフステージが変わればまた転職を考えるかもしれませんね。

▼ Y・Hさん転職ヒストリー
22歳 大学卒業後、BtoB分野のメーカーに就職
24歳 大手観光会社の管理部門に転職
33歳 スタートアップ企業に転職
35歳 以前勤めていた大手観光会社にリファラル転職