夫に「やり直すチャンス」を与えたが…

こうして夫は病院令嬢との不倫にますますのめり込んで行きました。

毎週のように朝帰りする夫にたまりかねて、理恵さんは離婚カウンセラーである私のもとを訪れました。私は「離婚するのか、それとも関係を修復するのか、最初にそれを決めましょう」と言いました。

理恵さんは「小学生の娘もいるし、離婚は避けたい」と考えていたので、まずは夫の不倫をやめさせる方向で働きかけていったのです。

夫に対しては不倫の証拠をつきつけた上で、「不倫相手と別れてくれるなら、もう一度やり直すチャンスを与える」という意思を伝えました。

夫は不倫相手と別れると約束したので、夫婦関係改善プログラムを実行してもらいました。

「それで一旦は元の鞘に収まったのですが、夫は不倫相手のことが忘れられなかったらしく、半年ほど経つとまた怪しい外出を繰り返すようになったのです」(理恵さん)

不倫はパートナーの心を傷つけ、消耗させていきます。

夫に二度も裏切られた理恵さんは落胆し、だんだん憔悴していきました。思いあまった理恵さんは、どうにかして夫の不倫をやめさせたい一心で、おかしな行動を取るようになっていきました。

「不倫をやめさせる方法をインターネットで調べているうちに、とある方法に行きついたのです」

妻が密かに実行していた「復讐」

理恵さんはインターネット上である情報を見かけて、その方法を密かに実践していたそうです。

「とある掲示板サイトで、『食事からこっそり塩分を抜くと、夫は元気がなくなり浮気しなくなる』という説を見つけて、こっそり実行していたのです」(理恵さん)

夫が激務のため、どうしても家事は理恵さんの担当になりがちで、夫の浮気が判明してからも、理恵さんが夫の食事を用意していたので、「塩抜き作戦」は簡単に実行できたとか。

料理をする女性
写真=iStock.com/PeopleImages
※写真はイメージです

「唐揚げだったら下味をほとんどつけず素揚げに近いものを出すとか、魚の干物なら少し水につけて塩抜きしてから焼くとか、そういったひと手間を加えるようにしていました」

ただ、当然といえば当然ですが、浮気防止の効果はなかったとか。

「減塩食にしたくらいで浮気しなくなるなんて、冷静に考えればそんなわけがありません。あとから醤油などをかけてしまえばおしまいですし、そもそも、夫が外で味の濃い食事をとってしまう可能性だってあります。こんな方法にすがろうとするくらい頭がどうかしていました」