病院令嬢なのに、なぜ普通のオジサンと…

理恵さんは夫のカバンを調べたり、ワイシャツの匂いを嗅いでみたりしましたが、不倫の証拠らしいものはこれといって見つかりませんでした。

「後で分かったことですが、夫は帰宅前にあえてジョギングして一汗かき匂いをごまかしてから帰宅するなど、かなり周到に対策していたようです」(理恵さん)

思いあまった理恵さんは夫の行動を監視するようになりました。

「あまりにも怪しいので、夫の中学校の前で待ち伏せしてみました。校門の近くで見張っていると、18時ごろに夫の車が出てきました。金曜日は遅くまで仕事していると聞いていたのはウソだったわけです。ショックでした」

探偵を雇い夫の素行調査を依頼したところ、驚くべきことがわかりました。

「仕事といいながら、夫は毎週のようにある女性の家に泊まっていました」

不倫相手は、同僚の女性教師でした。年齢は38歳で独身、その地域では有名なある病院の理事長の令嬢だったそうです。

病院の廊下
写真=iStock.com/Nastco
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「ご本人の収入こそ世間並ではありましたが、実家は資産家で容姿も悪くない方です。なのにどうして夫のようなオジサンと不倫したのか、不思議でたまりませんでした」

妻が知らなかった「裏の顔」

ただ、離婚カウンセラーとしての経験から言いますと、こういうケースはそれほど特別ではありません。容姿も悪くなく、家柄もいい女性が、相手を選り好みしているうちに婚期を逃してしまうことがあります。そうした女性がアラフォーくらいになってから急に焦り出して不倫に走る、というケースはけっこうあるのです。

また理恵さんはそれまで知らなかったのですが、実は夫の光一さんはかなりモテる人だったようです。

「見た目こそ年相応に『オジサン』でしたが、話を聞くのが非常にうまくて、女性からの評判は悪くなかったらしいのです。後輩の女性教師の相談を親身になって聞いているうちに、関係を持ってしまう、ということも度々あったとか」(理恵さん)

ただ以前であれば一度関係を持っても長続きしなかったので、理恵さんが夫の不倫に気付くことはなかったのですが、今回の不倫は違いました。

後で分かったことですが、病院令嬢は光一さんが既婚者であると知りながら、不倫関係にすっかりはまってしまい、「略奪婚」を考えはじめていたのです。光一さんのほうも、理恵さんと別れ、病院令嬢と再婚して人生をやり直したいと考えるようになっていました。