「1円でも高く買って」は意外と少なめ

わたしは尋ねた。

「セカストに売りに来るお客さんってどういう人たちなのですか?」。遠藤は間髪をいれず答えた。

「商品を持ってきて、これを1円でも高く買ってくださいという人は多くはありません。そういう方は他の店、たとえばフリマアプリも使うでしょう。セカストに売りに来る人はお金目当てだけではないのです。ただ、それが全員とも言いません。いろいろな人がいらっしゃるのです。

私は経営ではサステナビリティを追求しています。それは『未来永劫、買います、売ります』をやっていかないと会社が立ち行かなくなるからです。ええ、すごく怖い。正直に怖いです。会社をつぶしてはいけない。その気持ちが大きい。

どこの国であれ、私たちは仕入れをします。それはお客さまから買い続けること。我々の仕事は売る前にまず買うことなんです。普通の会社でしたら生産計画、調達計画があります。ですが、私たちはそれができない」

父が遺した「世界に一つだけのシステム」

「あれはコロナの時でした。私はとても悔しかった。あの時、東京都や一部の県知事から『リユース店、リサイクル店は営業しなくていい。不要不急の仕事である』と言われたのです。一般小売店は営業しているのに、我々の店は開けられなかった。それはおかしなことです。何よりも『リサイクルショップは不要不急の商売だ』と行政が思っているという事実に向き合った時、情けない思いでした。

野地秩嘉『セカストの奇跡 逆襲のゲオ』(プレジデント社)
野地秩嘉『セカストの奇跡 逆襲のゲオ』(プレジデント社)

今、2035年度には売上高1兆円を目標に掲げています。それはリユースの業界から1兆円規模の企業が生まれないと、業界そのものが世間から認めてもらえないだろうと思ったからです。コロナ禍の時に、不要不急の商売とレッテルを貼られた悔しさが私の原動力になっています。

私は営業する店舗数を減らしたり、店舗によってはネット販売だけにして営業を続けました。すると、コロナ禍でもお客さまはちゃんと店に足を運んでくださったのです。

リユースの仕事は、私が始めたのではありません。父親です。ゲオはビデオレンタルを始めたのとほぼ同時に中古のファミコンソフトや中古CDの買い取りと販売をやりました。その時、開発したのが弊社の基幹システムです。世の中にひとつだけのもので、1台のレジでレンタル、買い取り、販売ができます。

そのシステムを内製したのは父親の時代でした。私自身は父親の仕事を継いだだけです。ただ、父親がビデオレンタルを始めた頃から、いつまでも続くわけではないとわかっていました。そこで、セカンドストリートを完全子会社にした2010年代以後、集中投資したのです」

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