こうした中、日本が勝ち抜くためには何が必要か。海外での水ビジネス受注で求められるのは、水源から蛇口までトータルで最適かつ低コストなシステム提案ができるかである。
これまでの日本企業は海外の上下水道の施設を建てるだけで退却し、その後の維持管理のオペレーションを水メジャーに奪われることも多かった。早くから上下水道の民営化が行われていた欧州に対し、自治体が事業を担ってきた日本では、民間に水源から料金徴収までのマネジメント経験が蓄積されていないためだ。
水メジャーのシェアを奪うためには、官民一体のオールジャパン体制で世界に進出しなければならない。そのためには、指揮官が不可欠である。フランスや韓国では、大統領自らがセールスマンとなって国際的なロビー活動を行っている。
震災からの復興では、日本の誇る水技術が活躍している。強いリーダーシップを発揮する政治家が登場すれば、未来は明るいだろう。
(構成=大塚常好)