日常的に飲酒量が多い人は「がんリスク」が高い
二日酔いは一時的な不調とみられがちですが、頻繁に繰り返す場合、長期的な健康リスクにもつながる可能性があります。
過去の大規模な追跡調査では、月に1回以上二日酔いを経験する人は、ほとんど二日酔いがない人に比べ、心血管疾患による死亡リスクが約2.36倍高いことが示されました(Kauhanen et al., 1997)。二日酔い自体が心臓を直接傷めるわけではありませんが、強い症状を繰り返す飲み方は、体への負担が大きくなる可能性があります。
また、二日酔いの頻度が多いということは、しばしば「飲む量やペースが身体の処理能力を超えている」ケースに該当している場合があります。
このように飲酒量がかさむ人ほど、肝臓への負荷が大きくなるだけでなく、がんや認知機能への影響にも注意が必要です。
実際、日常的に飲酒量が多い人は、非飲酒者に比べて肝臓関連疾患の発症リスクが1.47倍、肝がんのリスクが2.07倍高いだけでなく、食道、大腸、乳房など複数部位でのがんリスクも上昇することが示されています(Moon et al., 2023;Bagnardi et al., 2015)。また、別の研究では多量飲酒者は、軽度飲酒者に比べて認知症リスクが約1.4倍に高まるとの報告もあります(Sabia et al., 2018)。
これらの研究は、二日酔い自体を対象にしたものではないため、すべての二日酔い経験者がこれらのリスクに該当するわけではありません。しかし、二日酔いを繰り返す飲み方は、リスクの高い飲酒パターンに該当しやすいことから、頻繁な二日酔いは将来の健康リスクの指標と捉えることもできます。
翌朝のつらさをきっかけに、自分の飲み方を見直すことが、将来の健康リスクを下げる第一歩となるかもしれません。
飲む前にはチーズ、ナッツ、オリーブオイル
二日酔いのメカニズムとリスク要因を理解したところで、ここからは具体的な予防策とセルフケアの方法をご紹介します。
お酒を楽しむ際、翌日の不快な症状をできるだけ避けたいという方は多いと思います。二日酔いは、事前の準備や適切なセルフケアによって、多くの場合、負担を軽減できます。
飲む前
アルコールの急速な吸収を防ぐため、タンパク質や脂質を含む食事を摂り、空腹で飲み始めないことが大切です。食事はアルコールの吸収を緩やかにするだけでなく、摂取後の代謝や排泄も助けてくれます。チーズ、ナッツ、オリーブオイルを使った料理などがおすすめです。
また、アルコールによる脱水を予防するため、あらかじめコップ1杯の水を飲むのも効果的です。

