特に男性は、組織の中における「役割」においてでしか、人間関係を築けない傾向があります。会社を離れても、何かの組織に入るか、または組織を自分でつくらないと、どうも居心地が悪いようです。
以前、世田谷市民大学のシンポジウムに招かれたのですが、学生の平均年齢はなんと69歳。老人大学の間違いではないかと思ったのですが、そこで退職後に役員などをやっている人はイキイキと幸せそうでした。世間の中でまだ「自分の役割があるんだ」と思えることが、彼らの幸福につながっているのです。
また、40代の男性で、サッカーの応援団の組織委員長などをやっている友人がいるのですが、はたから見ていてもいつも楽しそうです。奥様が大学の先生として家計を担っており、本人はほとんど専業主夫のようなものですが、料理上手で、家庭は大変うまくいってます。
同級生が、最近学生時代のバンド活動を再開したという話も聞きました。学生時代の仲間に「ライブに来いよ」と声をかけています。仕事一辺倒だった人が急にボランティアといっても難しいと思うので、大学時代に好きだったことを思い出し、友人に連絡をとることから始めてみてはどうでしょう。むしろ今の若い人より、バブル世代以上は若い頃から上手に遊んできたはずなので、その能力やネットワークを活用するのです。
要するに、自分の能力や性格、得意なことを生かして、ほめてもらえる場所をもつ。グループに入るためのお金や、グループでの対等な人間関係を築くためにお金を有効に使うことです。
ただ、ここで気をつけなくてはいけないのは、会社での地位はどうあれ、最初は「下働きの一兵卒」からやるつもりで参加することです。とかく地位のある男性は、会社以外の組織でも「オレが教えてやるモード」になりがちですが、これでは承認を得ることができません。