脳科学者 茂木健一郎氏
東日本大震災から約1週間後、僕はドイツの「シュテルン」という雑誌の取材を受けました。そのときのドイツ人記者が、「有事に強い日本人」に驚いていた姿が印象的でした。マグニチュード9の大地震、それに続く津波による甚大な被害、さらに原発事故も起こっているというのに、日本人はパニックに陥ることもなく、物資を待つ列にも整然と並んでいる。その冷静で秩序だった行動の背景にはどのような精神が潜んでいるのか、彼らはそれを知りたがっていました。
日本人はピンチに強い。このことについて、日本人はもっと自信を持っていいと思います。昔から日本は天災の多い国でした。三陸地方に限らず、江戸時代の東京も地震や大火により市中が何度も焼け落ちている。でもその度に人々は再び立ち上がり街を立て直してきたのです。どんなに人事を尽くして準備しても、それを超える自然災害は必ず起きる。
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