今回の震災では、日本を代表するインフラ企業や政府トップに、リーダーシップの欠如が露呈した。日本型リーダーの特徴を分析すると、なぜ有事に弱いのかが浮かび上がってくる。

なぜ経営者は謝るようになったのか

まず今回の大規模な地震とそれに伴う災害にあわれた皆様へお悔やみとお見舞いを申し上げたい。今回の大震災は、かつて日本が遭遇したことのない大規模な災害であり、被災者、援助者を含めて、復興を目指されている方々には敬服の念に堪えない。早い復興を願うばかりである。

また、組織と人の研究をしている私としても、今回の災害は大きなショックであり、日本の企業経営の特徴についてかなり深く考えさせられる事態だった。なかでも深く考えさせられたのが、リーダーに関してである。今回の災害からは、わが国におけるリーダーシップの強みと弱みについて学んだことが多かった。

まず、最初が組織の統率者による、外部志向のリーダーシップである。経営学でも最近、内部管理や内部ガバナンスを中心としたリーダーの役割から、組織外部へ向けたリーダーの行動を重視するようになってきている。

そのなかで、外部への情報発信やCSR/IR的な意味でのリーダーの役割が重視されてきた。テレビ画面で、経営者の「申し訳ありません」といったお辞儀が頻繁に見られるようになったのも、こうした動きと関係があろう。

当然だが、リーダーには組織を率いる人というイメージが強く、組織内部のガバナンスや組織内部で働く人の意欲を鼓舞する、という側面が常に強調される。実態としても日本のリーダーたちは、内部ガバナンスにはそれなりに成功してきた。

だが、組織外部へ向けてのリーダーシップには、別の重要な機能があることを今回の災害は思い出させてくれた。それは組織間の連携である。今回のような危機的状況では、自分の組織のもつ資源だけでは対応できないことが多く、他の組織との連携が必要になる。連携をとって、活用可能な資源を大きくし、危機に効果的に対応する。そうしたある意味では当たり前の機能が外部志向のリーダーシップの重要な一部分である。

もちろん、組織の下部組織ごとにこうした連携をとっていくことも可能だが、組織の上を見て行動することに慣れている一般メンバーでは限界があり、やはり大きな力を生み出すには、リーダーの指揮による組織間連携の力が必要になる。